図学研究
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アラスカ・シベリアで見た自然の形
早坂 洋史
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2003 年 37 巻 Supplement1 号 p. 71-72

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抄録
アラスカやシベリアといえば、氷河やツンドラ、オーロラそれに針葉樹林帯である通称タイガなどが思い浮かぶ。日本でも、高い山に登ると、カール地形や構造土を目にすることができる。本研究では、こうした自然の形をフラクタルの観点から見なおし、考察を加えた。研究分野の関係で、森林火災について、火災分布図などを使って、焼け跡の地形の形状につき考えた。最初に、地球温暖化による影響につき述べ、次に、シベリアの森林火災発生状況、アラスの森林火災分布図と年度ごとの森林火災の発生件数と焼損面積の推移につき説明を加えた。続いて、フラクタルにつき簡単に解説を加えると共に、森林火災で出現するフラクタルにつき考えた。その結果、火災跡地の形状につき検討した。具体的には、アラスカの森林火災分布図の形状をCADを利用し、火災跡地の面積と跡地の周囲長の関係を求めた。この結果、フラクタル係数Dは、1.55となった。この値は、過去の文献でのイトスギの群落に対する、1.6に近い値となった。この結果より、火災の跡地の境界線は、焼け止まり線と呼ばれ、川とか湖や、森林限界や植生の変化する所となることが多いことが知られているが、比較的、面積の大きな焼け跡では、実際には、樹木の群落ごと、つまり燃料の塊で燃えていることを示唆している。この結果から、森林火災の拡大防止策には、植生図上でどのような群落がどのように分布しているかの把握が重要となってくる。今後は、比較的、面積の大きな森林火災に見られフラクタルな面をさらに見つけ出して行くと共に、カオスによる森林火災現象の説明を試みる。
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