抄録
3D-CGソフトウエアを導入した2003年度の「図形処理論及び演習」の内容と結果について報告する。従来の「図形処理論及び演習」の授業はプログラミングを基本にしていたが、プログラミング自体に多くの時間を要するために内容を制限せざるを得なかった。また、プログラミングの煩雑さから、質感の表現や十分なアニメーシヨンの実習ができなかった。しかし、今日のコンピュータ・グラフィックスによる表現の可能性、あるいは、豊富な機能を持つ3D-CGソフトウエアが安価に入手できることなどを考えると、授業で扱う内容は不十分であるといわざるを得なかった。そこで、2002年度からは学生でも比較的入手しやすい3D-CGソフトウエアを通年の授業の後半に導入して試行教育を行った。授業では前半で2次元図形処理を中心に基本的な図形操作や表現方法をプログラミングを介して理解させた後、後半で空間把握の訓練を視野に入れた3D-CGソフトウエア利用の演習を行った。ここでは試行授業の内容を説明し、3D-CGソフトを使用した学生が何に困難を感じ、何を学んだかについて、課題に対する学生の記述から概観した。