図学研究
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ユーザの使い込みを反映するデスクトップ
定国 伸吾茂登山 清文
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2004 年 38 巻 Supplement2 号 p. 9-12

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抄録
GUIの浸透によって、情報を直感的に扱える環境が生まれ、それまでのコマンドラインを用いた環境に比べてコンピュータの使い勝手は飛躍的に向上した。しかし、コンピュータ上の表示や入出力デバイスに対して、実空間上の道具や家具に対して抱くような愛着や親しみといった感情を感じることは難しい。本研究では、ユーザに使い込み感をあたえることが、そのような感情を刺激することにつながると考え、実体のある道具において、使い込みあらわす要素である傷や痕跡に注目し、日常生活における人と物との関わりを考察する。その考察から、傷や使用痕跡を導入することで、デジタルデータに感情移入することができると考え、それをフェチ・システムとして提案する。また、具体例として、フェチ・システムをデスクトップ環境に応用することを考え、ユーザの使い込みを反映するデスクトップ環境の提案、試作をおこなう。使用痕跡の導入として、ポインタの軌跡をデスクトップバックグラウンドやファインダーの背景に蓄積すること、ファイルの使用時間に対応したそのファイルのアイコンを変化させることを提案する。また、傷の導入としては、アプリケーションの異常終了、ネットワークの切断などのコンピュータの状態変化に対応して傷をデスクトップに発生させること、全くランダムにデスクトップ上に傷を発生させることを考える。
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© 日本図学会
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