抄録
図法幾何学は, 立体の図的表現法―投影法―と図による立体図形の解析を扱う学問・技術の体系であり, 設計技術者や造形芸術関係者等, 立体形状を取り扱う者に必須な基礎知識である.この内容は大学・短大・高等専門学校における機械系, 建築・土木系, 芸術・デザイン系学科では, 図学という科目名のもとで教えられてきた.しかし, CG/CADの普及により, 図学, および, 図的表現法に関する教育は大きな変革期を迎えている.日本図学会では, このように変革期にある図学教育の現状を把握するとともに, 新しい図学教育のあり方を探るため, 2002年度から2003年度にかけて図学, および, 図的表現法に関する教育についてアンケート調査を実施した.調査項目は所属, 講義実施状況, 養成したい能力, 講義内容である.調査の主要な結果は以下のとおりである. (1) 3次元形状を生成し分析する能力に比べて, 図面を描く能力および情報伝達能力が重要視されている. (2) CG/CADの導入は普及しつつあるが, 手描きによる作図や図法幾何学も重要視されている.本文ではこれらの調査内容の概要について述べる.