図学研究
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実測した毛糸の表現
仲 達史辻合 秀一長江 貞彦
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2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 53-56

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抄録

本研究では, 仮想的にあやとりを再現するために現実の毛糸の形状が, どのようになっているのかを分析することが目的である.例えば, 一本のまっすぐな糸を左に1センチ移動させたとしても, 糸の両端を見ずには, 移動したことも、何センチ移動したかも分からない.このように毛糸は, 位置がずれても形状の判別がつかないため, 各部分の3次元位置を把握する必要がある.また, 仮想的にあやとりを再現するためには毛糸がどのような状態にあるかを知る必要がある.しかし毛糸はどの部分も同じ繊維によって構成されているので形状に特徴がないため, 計測が困難である.そこで毛糸の形状を画像処理によって計測することを試みる.本研究では, 異なる2視点から撮影したステレオ画像より測定対象までの距離および位置を計測する.これは, 異なる2視点から同一の対象を観測し, それぞれの画像上への投影位置の違いから, 対象の3次元位置情報を得ようとするものである.2視点から撮影した画像からのみでは物体の一部分でしかありえないが, 毛糸はどの方向から見ても形状が同じであるので2枚のステレオ画像からでも計測できると考えられる.そして計測によりえられた毛糸の状態のデータをもとに, 毛糸の形状を3次元で表現する.

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