図学研究
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39 巻, Supplement1 号
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  • 宮井 あゆみ, 中村 太戯留
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 1-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    CGは、アニメーション・コマーシャル・ミュージックビデオ・映画などの映像コンテンツの制作に欠かせないものとなり、その制作者には、映像表現技術、CG理論、CGソフト操作といった知識や技能が必要とされる。この中で、CG理論に関する知識を評価する手法は、CG検定として実現されている。しかし、CGによる映像コンテンツ制作では、前述の3つの個別の能力を総合して、実際に映像として創造、表現することが必要とされ、その評価手法は確立されていない。本稿では、クリエイティブシミュレーションエンジンを利用して、映像コンテンツ制作のシミュレーションテストを行なうことで創造性や表現力の観点から評価する手法を提案するとともに、今後の課題を紹介する。
  • 本郷 健
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 7-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    平成15年より高等学校に教科「情報」が新設された。普通教科「情報B」ではその領域に「モデル化とシミュレーション」が, また専門教科「情報」には科目「モデル化とシミュレーション」が設置された。現在, 新教科の目標に合わせたモデル化の教材開発が望まれている。その一例として, ここでは非集中モデルの考え方を導入することを試みる。非集中モデルの考え方を学ぶには, 一般的なモデルから非集中的なモデルの見方・考え方へ連続的に移行させる教材が大切である。また, このようなモデルはその現象を逐次視覚化することで一層理解を深めることができると思われる。ここでは, 教科「情報」の教科書に見られる一般的なモデルを, 非集中的な考え方で表現したモデルや非集中モデルの導入段階で利用を検討している教材を中心に紹介する。これらのモデルを学ぶことによって, 非集中モデルの考え方への導入を図ろうとするものである。また, 普及を図るために, 作成された教材はWeb上に公開され解説テキストと共に動作を確認できるようになっている。
  • 松田 浩一, 佐藤 健, 花邑 裕斗, 海賀 孝明, 長瀬 一男
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 11-14
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, 地域伝統舞踊は, 少子高齢化に起因する教え手・引き継ぎ手の減少が問題となっている.そのような状況の中, ビデオなどの映像だけでなく, IT技術を用いた伝承も検討され始めている。学習者の教材による独習は, 時間的・場所的に制約が非常に少ないことが利点であるが, 一定の水準まで達すると, それ以上の上達は見込めなくなる.そのような壁にぶつかった際には, 指導者による客観的な指導が必要となるが, 多忙な指導者が教えられる時間は限られていること, また, 学習者が通える範囲に必ずしも指導者がいるわけではないことが問題となる.したがって, 時間的・場所的な制約を受けない「教材による独習」と時間的・場所的な制約を受ける「指導員による直接指導」は, それぞれ問題点を有しており, それらの問題を解決できる仕組みが必要とされている.本研究では, 学習者と指導者の間で映像のやりとりを行なうことで, 舞踊の動き・流れといったものを含めて伝えることを目的とし, 直接指導および独習の問題点を解決するめの, 伝統舞踊の通信添削システムを提案する.本システムでは, 学習者の映像に対して指導者が添削を行なうための機能, 学習者が添削内容を学習するための機能を提供する.
  • 松田 浩一, 木村 美江, 菊池 清文, 町田 芳明
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 15-18
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 配色の3次元的な理解を目的とし, 3次元CGによる色立体教材を作成した.この3次元CGによる色立体を用いることにより, 色立体上における色評価の際に, 付箋などを色立体上に張り, 色の位置関係を確認するような作業を容易にする.また, 良い配色は色立体上で規則を持つとの仮定に基づき, 規則性を分かりやすく提示する方法についても検討した.色立体ではその規則性をひと目で認識することが困難であったが, 本教材では, 色相板を並列に配置することにより, 配色の位置関係を容易に把握することが可能となる.また, 色見本を直接選択するだけでなく, 画像からの色情報の入力も可能としているため, 既存のデザインに対する評価にも応用可能であると考えている.
  • 菊池 清文, 松田 浩一, 野村 行憲
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 19-24
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, コンピュータの普及などにより, デザイン作業は身近になっている.本研究では, デザインの中でも配色作業の支援を目的として, PCCS表色系の色相とトーンの概念を用いて, 任意の画像から使用頻度を基準に複数色からなる配色を抽出し, 印象を表すイメージ語と配色を対応させたデータベースとの照合により, 画像の印象評価を行うシステムを構築した.システムはユーザに対し, 入力画像のポイントされた画素の値 (RGB, HLS, PCCS, : L*a*b, XYZ) と, PCCS色相とトーンそれぞれの出現頻度分布グラフ, 原画像の主要使用色, 画像の印象を表すイメージ語上位8語を提示する.これによりユーザは画像の特徴の確認や, 参考にしたい画像の配色特徴の学習が可能となる.
  • 遠藤 潤一, 内藤 美千絵, 茂登山 清文
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 25-26
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ウェブサイトを立ち上げることが一般化し、膨大な情報が公開されるようになった。しかし、サイトに情報を掲載しただけでは、ユーザに情報を伝えているとは言えない。次の段階として、情報が適切に伝わるように、情報提供のかたちを考える必要がある。この情報の伝え方が情報デザインである。本論文では、情報デザインの視点を用いて図学会のサイト制作を行う。まず、現状の課題を明らかにした。国内のいくつかの学会のサイトを調査すると、各ページのデザインが統一されていないこと、学会のアイデンティティが希薄であることが分かった。これにより、サイトに対する信頼性や活用度の低下といった課題が生じている。これらの課題をふまえて図学会のサイトのデザイン案を制作するため、二つのコンセプトを提案した。スマートアクセスとコミュニケーショントリガーである。スマートアクセスは、サイトから情報を迅速かつ容易に得られるようにすることを意味している。ユーザにとって適切な情報がすぐに得られるようにデザインを行い、情報が得られるサイトであるという期待感を創出する。コミュニケーショントリガーは、サイトをきっかけとしたコミュニケーションが促されることを意味している。これは、ユーザのサイトに対するポジティブな体験が蓄積されることが必要になるため、スマートアクセスの延長上にあるコンセプトである。
  • 斉藤 孝明
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 27-30
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年、コンピュータ教育の普及に伴い、大学の文科系学部においてもComputer Graphics (CG) の初歩を講義する機会が増加している。しかるに、現在、文科系学部の入学試験では数学を課さない大学も多く、図形に関する基礎知識の取得状況には一抹の不安を覚える状況である。本研究では、およそ立体図形とは縁の無い文科系学部の学生を対象に実態を調べるべく立体図形・平面図形に関する調査を試みたので報告する。調査対象となったのは清泉女子大学文学部の2年次生から4年次生までの23名である。これらの被験者に空間認識力を測る目的で広く用いられているMental Cutting Test (MCT) と、小学2年生から中学3年生までに習う立体図形・平面図形に関する図形知識テストを実施し、その結果を分析した。MCTの平均得点は9.8点と今まで報告されている大学における平均得点と比べると低く、文科系に限っても低いほうに属する。この結果を踏まえて立体図形・平面図形に関する図形知識テストの結果を見ると、立体の名称を答えたり、面積や体積を計算したりする問題では比較的良好な結果を得ている一方で、展開図から出来上がる立体を推定しなければならない問題はややそれに比べて劣る結果となっており、空間認識力の影響が見て取れる。本調査により、文科系学生といえども立体の名称や計算はできることが示され、CG系の授業をコンピュータリテラシの授業に取り入れた場合の考慮すべき事柄が明らかになった。
  • 知花 弘吉, 城光寺 文章
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 31-34
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    3次元MRTにおける空間認識を明らかにするために、従来から実施されている択二式MRTを択一式に変えた時の関係について分析を行った。被験者はK大学建築学科1年生 (162名) 、2年生 (135名) 、合計297名の学生である。その結果は以下のとおりである。 (1) 解答率は概ね100%である。 (2) 正解率は、択二式よりも択一式の方が高い傾向にある。択二式と択一式には高い相関が認められる。 (3) 択二式の正解立体図形に対する択一式立体図形の正解率には高い相関が認められる。 (4) 性別の択二式と択一式では、1年生は女子より男子の方の相関が高いが、2年生では逆の傾向である。
  • ―問題立体に対する視線変更による効果―
    堤 江美子, 石川 若奈, 佐久田 博司, 鈴木 賢次郎
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 35-40
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    MCTの低得点者はイメージ生成が不完全で、形状や空間的な相対位置を正しく認識できず、平面的にみて部分的な特徴に着目する傾向がある。そこで、刺激立体を回転させて問題の見方に自由を与えれば、立体の奥行きがよみとりやすくなると考え、被験者が刺激立体を鉛直軸周りに左右180度回転させることができる「回転視MCT」9問を作成して実施し、回転視したときの刺激立体の見え方や解答選択肢について分析した結果、 (1) 回転視した場合、平均得点は標準MCTに比べて有意に高かった。 (2) 問題図の視線が切断面と被切断面を同時に直線視できるような視線に近いほど、交線の位置は把握しやすくなることが分かり、「図の見方」あるいは「適切な方向から見ること」が重要と理解された。
  • 鈴木 広隆
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 41-44
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図形科学教育の場において、履修学生の図形空間情報認識能力を評価し、教育効果を明らかにする試みは多数行われている。本研究では、3次元の図形空間デザインの際に重要となる投影変換の能力について、単位立方体を組み合わせた単純な図形を利用し、正投影図を与えて等測投影図を選択させる評価手法を開発した。その上で、この手法による結果の意味するものを明らかにするため、自身の能力や志向の自己評価、授業に対する評価アンケートとの比較検討を行った。
  • 鈴木 賢次郎
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 45-50
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    新学習指導要領における, 高校までの図的表現法, 及び, 空間幾何学教育の教科内容の変化について分析した.図的表現法については, 従来, 小学4年算数で教えられていた“見取図”が小学6年算数に先送りされ, 中学1年の数学及び技術・家庭で教えられていた“投影図”が教科内容から削除された空間幾何学教育については, 従来の小学4年算数の教科内容が小学6年に先送りされ, また, 中学1年数学では, 投影・切断が削除されるなど, 立体図形に関する操作活動について大幅に教科内容が削減された.さらに, 高校数学ではベクトル方程式による空間図形の取り扱いが削除され, 図形要素についての定量的取り扱いは姿を消した.このような大幅な教科内容の削減により, 図的表現法及び空間幾何学に関する学力低下は避けがたく, 大学等における図 (形科) 学教育の重要性は一層増すものと考えられる.
  • 佐久田 博司, 近藤 直, 矢吹 太朗
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 51-52
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 質点系などの基礎物理におけるクラスオブジェクトを開発し, 現象の可視化によるe-Learning教材の開発を支援する環境を構築することを主目的とした.物理量オブジェクトは, 可視化部分についてはJava 3D APIによってモデル (シーングラフ) を作成し, 微分方程式の解法は内部のメソッドとして実装した.視点変更などにより効果的な教材を例題によって示すことができた.
  • 仲 達史, 辻合 秀一, 長江 貞彦
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 53-56
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 仮想的にあやとりを再現するために現実の毛糸の形状が, どのようになっているのかを分析することが目的である.例えば, 一本のまっすぐな糸を左に1センチ移動させたとしても, 糸の両端を見ずには, 移動したことも、何センチ移動したかも分からない.このように毛糸は, 位置がずれても形状の判別がつかないため, 各部分の3次元位置を把握する必要がある.また, 仮想的にあやとりを再現するためには毛糸がどのような状態にあるかを知る必要がある.しかし毛糸はどの部分も同じ繊維によって構成されているので形状に特徴がないため, 計測が困難である.そこで毛糸の形状を画像処理によって計測することを試みる.本研究では, 異なる2視点から撮影したステレオ画像より測定対象までの距離および位置を計測する.これは, 異なる2視点から同一の対象を観測し, それぞれの画像上への投影位置の違いから, 対象の3次元位置情報を得ようとするものである.2視点から撮影した画像からのみでは物体の一部分でしかありえないが, 毛糸はどの方向から見ても形状が同じであるので2枚のステレオ画像からでも計測できると考えられる.そして計測によりえられた毛糸の状態のデータをもとに, 毛糸の形状を3次元で表現する.
  • 長 聖, 佐藤 尚
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 57-62
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、カメラから取り込んだ実写映像を元に非写実的な効果を生成することを目的とし、その手法を提案した。12世紀に描かれた鳥獣人物戯画などの絵巻物からわかるように、日本では昔から「アニメ的マンガ的」な絵が作られてきた。そして、現在ではセルアニメーションという非写実的な表現にスピード感などを与える手法としてカトゥーンブラーが頻繁に用いられている。そこでカトゥーンブラーによる強調表現に着目し、現実の映像に強調表現を付加することで視覚的な補助や、新たな映像表現としての効果を期待し、自動的に写実的な映像へ非写実的な強調効果を生成することにした。非写実的な強調表現の代表として「線」と「残像」の2種類の規則を定め、実装した。本研究における最大の特徴は3段階処理における残像輪郭線の生成である。残像輪郭線を生成するために時間的に連続した画像を3コマ用意し「フレーム差分二値化処理」、「共通部分抽出処理」そして「膨張・共通部抽出処理」の処理を施すことによって輪郭線を抽出、生成し残像輪郭線とした。残像輪郭線を利用することによって「残像」の描画を可能とし、残像輪郭線の時間経過による移動関係を求め、その移動位置を利用することによって「線」の描画を可能とした。しかしながら、実験により新たに「色変化が複雑な背景では正しく残像輪郭線が検出できない」、「映像として効果が不自然に連続的」そして「速い動きに対応できない」などといった問題が発生した。
  • 大林 正一, 近藤 邦雄, 今間 俊博
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 63-68
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本論文では、非写実的な3Dアニメーションのための動きの効果生成手法を提案する。従来の3Dアニメーションのためのモーションブラー等の動きの効果は、非写実的なアニメーションに適用すると違和感が生じる。そこで、本論文では、非写実的な3Dアニメーションのために、非写実的な動きの効果を提案する。生成される効果を「カトウーンブラー」と定義し、その生成のアルゴリズムについて述べる。提案手法では、入力された3Dアニメーションの各フレームから、2Dアニメーションで比較的多く使用されている「線」「残像」「ゆがみ」の三つの効果の「カトウーンブラー」を生成する。「線」はキャラクタの移動の後方に線を生成する効果で、「残像」はキャラクタの移動の後方の稜線を移動の途中に複製する効果、「ゆがみ」は移動の後方をぎざぎざにのばす効果である。生成される効果の量について動的な変化を加えられるように, 入力データからキャラクタの移動方向を計算し、その移動の後方に当たる部分に対して面の分割、統合を行うことで効果の量を調節出来るようにした。これら三つのカトゥーンブラーを組み合わせ、非写実的な3Dアニメーションのための動きの効果を実現する。
  • 米山 孝史, 近藤 邦雄
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 69-74
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    コンピュータグラフィックス (CG) による自然景観のシミュレーションは, 様々な対象について多くの研究が行われている重要なテーマである.本研究では, オーロラの物理的な発光原理を考慮したビジュアルシミュレーションの手法を提案している.これまでに提案されているCGによるオーロラの可視化の手法では, オーロラの現れる高度やその色の決定の方法に観測データに基づく平均的な近似データを用いている.そこで本研究では, オーロラの物理的な発光過程および色の決定方法についてモデル化を行い, オーロラの発光のシミュレーションすることにより画像を生成する.この結果, オーロラ粒子のもつ初期エネルギーのパラメータの強弱によりオーロラの色のパターンとして分類されるそれぞれのオーロラについてシミュレーション画像を生成することができた.
  • 栗山 仁, 近藤 邦雄, 今間 俊博
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 75-80
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アニメーションの世界において3Dキャラクタに動きをつける作業の効率化を図るため、様々な手法が提案されている.例えば簡単にリアルな動きのデータを作成する手段としてモーションキャプチャシステムがあげられる.一方、アニメ世界のキャラクタの動きは必ずしもリアルではない.現実世界での動きをそのままアニメ世界に適応させると、むしろ違和感を感じてしまう.なぜなら, アニメにはアニメ世界の“リアル”が存在するからである.アニメ世界でのキャラクタの動作で重要なのは“見る人がリアリティを感じるかどうか”である.このようなアニメーションの世界で用いられる動作のことを本研究では“メンタルモーション”と定義する.本研究では、古家が提案した加速度制御手法をさらに発展・改良して形状変形において動作の特性を活かした形状変形手法を提案する.
  • Weizhong Liu, Kunio Kondo, Jun Mitani
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 81-86
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    We present a geometric modeling tool by freehand drawings. The idea is to use a 2D template topology library as an essential tool to reconstruct and modify the 3D shape step by step. The template topology library is called T -LIB which is consisted of 2D Edge Graphs and the corresponding algorithms to generate 3D objects. We analyze the local structure around the input strokes as a 2D Edge Graph. Once the Edge Graph can be matched to a template of T-LIB, the 3D object can be generated in basic shape reconstruction procedure, or modified in 3D shape modification procedure. After we get the polyhedral network, we use fillet operation and subdivision to get smooth shape.
  • ―かたちと陰影を捉えるためのツール開発の試み―
    西井 美甫, 佐藤 紀子
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 87-92
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本論では, デッサンの初心者が, かたち・陰影を捉える能力を養うために開発したトレーニングツールについて報告する。まず, 渕上が初心者のデッサンを調査し, かたち・陰影・質感・構図におけるそれぞれの問題点を明確にした。さらに佐藤らが紙コップのデッサンについて, 単一モチーフという理由から構図をのぞく3つの観点から評価を行い, これらの妥当性について検証した [2] 。これら4つの要素を考慮したトレーニングは観察眼と描写力を上達させることできるのではないかと考え, まず初心者が習得すべき「かたち」「陰影」に限定してトレーニングを取り扱うこととした。既存の鉛筆デッサンに盛り込まれている多くの習得技法の中から, デッサン初心者に有効であると考えられる部分を探り, 理論か実技かもしくは加工すべきかを判断し, 理解しやすいような方法を考案した。今回のツールは, 実技の他にIT関連に教育基盤をもつ本学部の特徴を有効利用するため, e-ラーニングも取り入れることとした。e-ラーニングは理論やテクニックを理解するために有効であると考えた。しかし, e-ラーニングというトレーニング環境はひとつの選択肢であり, 紙の上でもコンピュータ上でも同様のことができる, また紙の上でなければ有効でない手法は, 実技ワークシートとして既存の手法をそのまま取り入れることとした。本論ではツールが実験段階であることから, 本格的な評価を行わず学生の使用感の報告にとどめる。
  • 長島 忍
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 93-96
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図法幾何学 (図学) の講義では、3次元空間の点・直線・平面・立体などを2次元平面上に表し、図形のもつ性質や位置関係・交差などを作図により求めることが行われている。図学に慣れないうちは、2次元の情報から3次元を理解することが難しく、また空間における操作を2次元で表すことが難しいと言われている。これらの図法幾何学の難解さを減らすため、筆者は学生が図法幾何学を学習する際に、理解を助けるための補助教材を開発している。その一環として以前Windowsパソコンで利用できるアプリケーションソフトウェアやMacromedia Flashというオーサリングソフトを利用した図学教材を開発した。今までのソフトは、操作して図を作ることに重点を置いていたが、今回はどういう作図を行うかという質問を出してそれに答える形で先に進みながら理解度を調べる問題学習型のソフトを試作してみたので、ここに紹介したい。
  • 鈴木 広隆
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 97-102
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大阪市立大学のこれまでの図形科学教育は、投影方法の知識や作図法、CGによる図形空間情報の構築については効果を挙げてきたものの、最終的に生成される図に決定的な影響を与える光のふるまいを十分に身に付けさせるには至っていなかった。そこで、2004年度よりCGで作成する課題の1つを「照明器具」に変更し、光のふるまいの考慮なしに作品が提出できないシステムとした。本稿では、課題の内容の変化に伴う提出作品の質・量の変化、他の課題への波及効果について、提出作品のデータファイルを分析することで定量的な把握を試みた。
  • 鈴木 賢次郎
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 103-108
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    多面体どうしの相貫は, 図学における重要課題でありながら, 多くの学生が困難を感ずる課題である.その困難は, 相貫点を連結する過程にあり, 授業において連結手順が明確に教えられていないことから生じているものと考えられる.そこで, 相貫点を連結する新たな手順を考案した.この連結法は, 二つの多面体の相貫線がそれぞれの多面体の構成面どうしの交線の集合であることに着目したもので, 相貫点が所属する双方の立体の構成面のリストを作成しておき, このリストを用いて構成面と構成面の交線として相貫線を求めるものである.従来から提案されている相貫点連結アルゴリズムに比べて, 簡単かつ明快であり, また, イメージを利用することなく連結できるので, イメージを作りにくい学生にとっても利用可能なものと思われる.この新連結法を採用した授業を行い, 期末試験の結果を分析したところ, 新連結法に依れば, 多くの学生が相貫点を正しく連結できることがわかった.
  • 早坂 洋史
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 109-110
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図形科学に関する授業は、他の授業と異なり、個々人の右脳を使う能力に強く依存する、と言われている。このため、図形認識が不得意な人などにとっては、最も苦手な授業となる可能性もある。このため、授業の展開には、学生の授業に対する、アンケートによる意見に耳を傾け、改善する事が重要と思われる。著者は、20年近く、図形科学 (旧名称、図学) を教え続けており、適時、自作のアンケート用紙で学生の意見を聞いてきた。近年、自己点検評価が各大学で行われるようになり、その一環として、北海道大学でも授業アンケートが平成11年度より本格的に行われている。平成15年には、平成11年からの数年間の結果のまとめが報告されるまでになった。かねてから、十把一絡げのアンケートに疑問を持っている著者は、このアンケート結果をどう受け止め、どう判断したら良いのかを調べてみた。この結果、大学のアンケート結果からは読み取れない、授業成績とアンケート点数との関係、成績の善し悪しに関係しない、授業支援者の存在、アンケート用紙をあまり読まないで回答しているもの、などの存在などを明らかにした。また、アンケート点数を低くする学生は、授業への出席率が低い学生であることなども明らかにした。
  • 平野 重雄, 中澤 洋二, 横田 成昭
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 111-116
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    機械製図の極めて独特な表現法に断面図示法がある.これは, 品物の内部の形状を図示する場合にかくれ線で表すが, 複雑な形状のものでは, かくれ線が多くなり図が見にくくなる.このような場合に品物の内部を示したいところが現れるような切断面で仮に切断して, その手前の部分を取り除き残った部分を図示する.よって, 内部を外形線で表すことができ明示できる.断面図には, 品物の形状によって種々な切断方法があるが, 提出された図面を評価したところ, 基本的な考え方を理解していない学生, 新入社員が多いことが判った.そこで, どのような断面法が理解しにくいのか検討を行った.そしてその改善策を立案した.
  • 牧 博司
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 117-119
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    学術用語の定義は意思の疎通のために明確でなければならない.異なる専門分野間では特に科学的な明確化が求められる.最近, CADが産業界で利用されるようになり, その必然的な結果として教育界に確固たる地位を築いている.しかし, 商売用の造語が一人歩きしている現状は異常であり, 看破せざるをえない.本論は表題の二つの造語を取り上げる.図面の本質を知らない者が使用するなら他人が口をはさむ余地は無いが, 教育の分野で使用されているとなると問題である.結論として, 2次元の図と3次元の図は問題ないが, それらの図に「面」をつけた造語は存在しえないことを明らかにする.CADを単に図を描く道具と見なしている, そして教育している (せざるをえない環境は認める) 者への苦言である.
  • 森田 克己
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 121-124
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    紐はわれわれの生活において古くから様々な関わりをもちながら、実用的あるいは装飾的な目的のために多種多様な領域で利用され、分類上は糸・縄・ケーブル・ワイヤーと呼ばれている。ここで、造形的な視点に立脚すれば、その特徴の1つに、結び目の形を見いだすことができる。日本の伝統的な家紋の形はその代表的な例である。家紋の形を対象にすれば、ある形は、数学における結び目理論をベースにして構成されていると考えることができる。家紋は1つの例であるが、ある形と結び目理論との関連については大変興味深いものがある。以上の観点基づいて、結び目と造形の関連および結び目の造形的な可能性について追求した。結び目を生成するときの大分類は、第1に自明な結び目、第2に交代結び目、第3に非交代結び目とした。中分類は、第1に2次元上同一形で3次元上異なる形の結び目、第2に2次元上異なる形の結び目とした。以上に従い、CGを用い結び目を生成し、検討を加えた。
  • ―図学的観点からの考察―
    浜田 真理
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 125-128
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    空間が文学の中でどのように描かれるかということについて、村上春樹 (1949~) の初期の短編小説「パン屋再襲撃」 (1986) を示例として、図学的な観点から考察する。
    空間は、図や絵画のように視覚的なるもので示される場合が多いが、言語を使用して実体のないイメージの世界としてあらわしたものもある。言葉だけであらわされた空間や形は、それを読む者に、視覚で限定された図的表現よりも、読み手のイメージによって視点を固定したものではない自由度のある空間や形を思い起こさせる。また、言語表現により、現実にはあり得ない世界を描くことができる。さらに同時に別世界の物語をパラレルな形で表現することも可能で、異なる空間を現実の空間に入れ込むこともできる。そのように言語による空間表現は現実空間はもちろんのこと、存在しない空間やイメージの空間を自由に創り出し、想像の空間を示すことができる。本研究では、それらが実際に空間について書かれた文章を、象限の考え方に当てはめて考察していくことにより、言語的世界で構築された空間を解明していく。
  • 茂登山 清文
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 129-132
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ジェフ・ウォールの作品《戦死した兵士たちは語る (1986年冬, アフガニスタンのモコル付近における赤軍偵察隊の待ち伏せ攻撃のあとの幻影) 》は, 一見, 戦闘後の悲惨な光景を撮った写真のように見える.しかし実際には, 周到な準備とパートごとに分けての撮影, そしてその後のコンピュータによるディジタル処理をへて, 可能となった現代の歴史画である.スーザン・ソンタグは, その著『他者の苦痛へのまなざし』の最終章において, この作品をとりあげ, 写真というメディアが一過的で, 倫理的政治的には無力でしかないという.しかし, この作品をひとたび芸術として見るなら, そこにはまた異なった意味が見いだされる.鑑賞者が感情移入しようとしてはぐらかされるという, イメージとの共感の不可能性, コミュニケーションの不在は, イメージのなかの人物たち相互の関係性と呼応し, お互いを補強し, 強力なメタメッセージを発信しているのである.
  • ―「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置における平面図」の作図法に関する一考察―
    奈尾 信英
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 133-138
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 2004年度日本図学会大会で発表した論考に引き続き, シエナで生まれローマで活躍した建築家バルダッサーレ・ペルッツィ (1481年-1536年) が描いた「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置のための平面図」の作図法を詳述するものである。すでに, 「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置のための平面図」の構図と「プロスペッティーヴァのための習作」の構図とのあいだに類似性があることを指摘していたが, 本稿ではさらに, 「プロスペッティーヴァのための習作」に残されている下書き線の痕跡, すなわち1) 奥行方向の直線群の痕跡, 2) 水平線の痕跡, 3) 対角線の痕跡, 4) 円弧の痕跡に着目し, これらの下書き線の痕跡を証懇とし, 「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置のための平面図」の作図法を具体的に復元する。考察の結果, 「喜劇《バッキス姉妹》の舞台装置のための平面図」は, 「プロスペッティーヴァのための習作」で示されている半円を用いた作図法と同種の方法で描かれたことを例証できたのである。
  • 鈴木 広隆, 藤本 佳則, 辻 剛史
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 139-144
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    龍安寺石庭の配石パターンについては、これまで専ら作庭者の意図や配石原理について研究が行われてきた。本研究では、人間の感覚量である趣と配石パターンとの関係について明らかにするため、平面図、透視投影図で表現した様々な配石パターンを被験者に呈示し、趣の定量化を行った。さらに、配石パターンを基にしたボロノイ図を作成し、これによって得られる様々な物理量を求め、趣との関連を考察した。
  • ―「東都名所、吉原仲之町夜桜」の空間表現の特質―
    神山 明
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 145-150
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歌川広重の「東都名所」と題される浮世絵の揃い物には、版元や発行年の異なる多くの種類があるが、天保3~5年に喜鶴堂から発刊されたシリーズは、名品として知られている。その中の「吉原仲之町夜桜」は傑作として評価が高く、この作品に描かれた空間には、同シリーズの他の作品とは異なる印象が強く感じられる。筆者はそこに、浮世絵独特の平面的色彩構成による絵画空間ではない、現実に近い空間の広がりを感じた。それは、同時代の絵画の空間表現とは異質の、より現代の空間感覚に近いものである。その印象はどこから生まれているのかを考察することが、本論の主題である。そのため、透視図としての絵画空間の分析、投影法の観点からの他の作品との比較、描かれた対象の形体や構図と色彩についての考察等を行った。その結果、広重は透視図法の表現効果と、構図との関係を考えながら作品を制作しており、表現された絵画空間には他の作品に見られない、現代の写真や絵画に通じる現実感があることなどがわかった。
  • 小山 清男
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 151-156
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    わが国古墳時代に, 「直弧文」という独特な文様がある。なぜか他国にその類例がなく, また6世紀後半以後, 国内にもそれを伝承するものはみられない。その定形は装飾古墳の石障, 石棺などに施されたもので, 正方形に近い方形を枠として, その2本の対角線と, 帯状のテープがからみ合った図柄である。また貝輪などの装飾に施されたものは, 方形の枠はなく, 不整形な文様となっている。その構成はひじょうに複雑であり, しかも動きの表現, とくにほとんどが回転運動をあらわしている。ここではそれらの代表的な作例3点について, できるだけ具体的に, 分析, 考察して, その特質を明らかにしようとする試みを述べる。
  • 加藤 道夫
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 157-162
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    日本語における透視図, あるいは, 遠近法 (パースペクティヴ (perspective) ) の語源は, ラテン語のペルスペクティーヴァ (perspectiva) に由来するが, その本来の意味は「正しい視方」である.その理論的基盤は古代ギリシアのユークリッドに遡ることができる.しかし, その像を具体的に表現する技法, いいかえるならその作画 (作図) 法については説明されていない.つまり, この時点では, 現象は説明可能という意味で「科学」であっても, 「画像」を生成できないという意味で「技術」ではないということができる, ルネサンス期に具体的に図を作成するという作図法技術が考案され, 以降, 普及・発展した.その技術は, 「固定化された視点」という決定的な前提を含んでいた.見方を変えるならば, 視点を固定化するという条件を設定することで, 作画法が考案可能となったといえる.以降, 遠近法は変質し, その本来の意味である「正しい見方」から「偽りの見方」を表示する技術としての変化をとげる.一方で, 「固定化した視点」を克服するさまざまな試みも見られる.また, 近年の計算機の発展と普及は, ルネサンス以来遠近法が抱えてきた諸問題をクリアしたかに見える.他方で, 計算機による一義的な表現とは異なる手の痕跡を残した手描き画像の価値も見直されつつある.本発表は, 科学技術の視点から遠近法の歴史的変遷を俯瞰するものである.
  • 高橋 泰一
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 163-168
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    あらゆる平面図形構成パターンのトポロジカルな性質の違いを把握するためには、平面図形と1: 1で対応する双対構造を求め、これを体系的に表示することが有効である。
    平面図形の双対構造としては、3次元空間にはる根付きメタグラフ多様体が対応する。グラフ多様体は平面図形上の面、線、点を点、線、面に双対させて求められる。また、平面図形上で空間相互が点接合する関係が複雑に変化する場合では、双対構造上で鎖線による表示法を対応させることで、新たな疑似平面 (メタ面) を表示できることから、メタグラフ多様体の体系的な表示も可能となってきた。
    本報は、具体的なグラフ多様体の実例をもとに、そこに生成可能な点接合関係を示す要素メタ面を体系的に組み合わせてメタグラフ多様体を生成させるとともに、要素メタ面の記号化をもとにメタグラフ多様体の構造表示を試みたものである。実例で用いた6点7線のグラフ多様体からは、メタグラフ多様体が120種類、平面図形構成パターンが726種類の多くを求めることができた。
  • 辻合 秀一
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 169-170
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    「国語速記発表110年記念事業速記符号集」 (日本速記協会, 1993年9月1日) を日本速記協会の了解の基で, デジタルコンテンツ化を行った.このコンテンツは, 28方式の速記者100人の手書き速記符号の画像データである.速記符号分析を考えた上でデータベース化の試みを行う.速記符号データシートは, 基になった本を参考にし通し番号, 速記者の名前, 速記方式, 速記符号集の掲載頁, 名前のブリ仮名, 方式のブリ仮名, 備考の項目で作成した.また, 各データには, 速記符号の画像と訳文を添付した.本研究では, これらのデータをインターネット上に公開することにより速記符号の社会上の認知と分析手法の向上を目指す.
  • 早坂 洋史
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 171-172
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    世界各地で発生している森林や草原などでの火災、所謂バイオマス火災は、気候変動に伴い、年々大規模化する傾向にある。火災に伴い、温暖化ガスの二酸化酸素などが、放出されるため、火災と温暖化との相乗効果による急激な温暖化の進行が危惧されている。大規模なバイオマス火災は、人目に付かない辺地で発生する事が多く、リモートセンシングが有効である。飛行機観測は一部の地区に限られるため、大規模バイオマス火災が全世界的なスケールで認識され始めたのは、スペースシャトルが飛び始めた1980年代からである。宇宙飛行士により、森林や草原での火災状況が頻繁に撮影されるようになり、1985年にこれらの写真情報からの全世界火災地図が初めて作られた。その後、種々の観測衛星データを使う、バイオマス火災の検出方法が開発され、現在では、衛星データの自動解析による火災監視システムの稼動に至っている。観測衛星の赤外センサーにより、異常高温部いわゆるホットスポット (≒火災) が検出される。一般的には、衛星写真に赤い点でホットスポットを示し、煙の流れなどを見て、火災の大まかな状況を把握する程度にしか使われていないのが現状である。これは、ホットスポットデータの解析手法が確立していないためである。
    そこで、本論文では、ホットスポットデータから、火災の焼損面積や火災の動向、特性の把握などを知るための―解析手法を、CADを利用して開発したので報告する。
  • 嵯峨 拓人, 大峯 和也, 高 三徳, 桜井 俊明, 五十嵐 三武郎
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 173-178
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、CG/CAD手法を用いて、カムと歯車の運動特性をもつ不等速な回転伝達機構である非円形歯車の設計と、それに必要な解析・計算・プログラミングなどを行った。まず、非円形歯車機構の角速比、ピッチ曲線、歯数の算出と調整、歯の傾けの基礎理論および非円形歯車伝達のメカニズムを述べた。次に、一対の楕円形歯車を例として、非円形歯車の設計仕様、歯形の設計、配置、トリムおよび歯車の3次元モデルの作成などの一般プロセスを紹介した。最後に、考察を行い、結論および今後の課題をまとめた。
  • 大村 勝, 植田 全彦
    2005 年 39 巻 Supplement1 号 p. 179-180
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    切削油剤を多量に用いる今までの旋削加工における作業設計 (切削速度、主軸回転数、切込み量、送り量などの作業手順) については、すでに今までにデータが蓄積されている。
    本研究は環境保全を目的としたMQL (Minimum Quantity Lubrication: 極微量潤滑供給加工) として、冷風による冷却性と比較的環境にやさしいとされる植物油を噴霧状にして用いたセミドライ加工の潤滑性に着目し、2つを組み合わせたクーラント法をクールセミドライ加工 (CSDW) とし、加工中の切削温度や切削力・送り力、そして加工後の表面粗さを検証し、MQL旋削の作業設計のための基礎的データを収集することを目的とする。そこで今までに検証されていない中ぐり旋削加工での実験を行い、外周旋削加工での切削条件を比較し、さらにチップが欠損した場合の異常切削状態における外周および中ぐり旋削加工実験を行い、加工中の切削音、切削力、切屑などの検証結果について通常状態の加工で得られた値と比較し、異常状態の加工状況を判別する可能性について検討した。
    実験を行った範囲でCSDWでの加工が一定の表面粗さを維持する効果があることがわかった。また通常切削と異常切削下での切削力の違いについて比較・検討した結果から、異常切削になれば切削力は増加し、切削音の音圧レベルの変化から加工中の加工状況を把握することが可能になる。
    最終的にMQL旋削加工条件下での各種作業条件から幾何学的な図形情報であるCADから非図形情報であるCAMの各種条件をデータベース化しておき、機械の知能化が可能になれば完全な省力化、すなわち自動化が計れる。
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