2005 年 39 巻 Supplement2 号 p. 77-80
パーソナルコンピュータを使用するとき、人は対象を注視することによってのみ情報を取り入れることができる。一方、実空間上においては、注視することなしに取り入れることができる情報が存在している。窓から差し込む光の変化はその一つであり、例え読書に集中していたとしても、視界周辺にその変化を捉えることで時間経過や天候変化を感じることができる。本研究では、このような注視を必要としない情報提供をパーソナルコンピュータ上に導入することを考える。そして、その導入例として、デスクトップ内周辺部の変化を通じて、周辺視に情報提供するシステムの提案、試作を行う。また、このことは、コンピュータで作業をする際に、視野の大半を占めるモニタによってさえぎられた空間を、形を変えてモニタ上に取り戻す意味も持っている。
本発表では、デスクトップ上に、このような情報提供を応用するための手がかりとして、実空間上での光の変化による情報提供の考察を行い、認知科学の研究成果による周辺視の特性を見る。そして、実際に、デスクトップバックグラウンドの変化に、RSS等を通じて取得した情報を対応させたシステムを試作する。また、その試作システムを使用してもらうことで予備調査を行う。その調査で明らかになった、問題点を解消するため、また要望に応えるために、いくつかのカスタマイス機能を追加し、システムを完成させる。