抄録
本研究では, 個人のデッサンの特徴を捉えるため, 描画プロセスにおける, 描画されたモチーフの要素 (紙コップの口の上下の縁, 持ち手の部分の左右の稜線など) の描画値をデータ化し, 初心者のデッサンプロセスの時系列データを取得した.描画プロセスは, 「感性」「個性」の集積でもあり, デッサンに取り組む初心者の習熟度や経験を反映するものである.モチーフの描画領域の動的データを比較することで, 描画プロセスにおける個人の描画傾向を探る.この結果を, 初心者がデッサンを訓練する場で有効に利用するための方法について考察する.