日本医療・病院管理学会誌
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研究資料
小児の初期救急医療における遠隔コンサルテーション利用の支払意思額
—— 仮想評価法(CVM)による保護者を対象とした意識調査 ——
谷川 琢海大場 久照小笠原 克彦櫻井 恒太郎
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2010 年 47 巻 2 号 p. 81-91

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抄録
近年,遠隔医療システムの技術が成熟しつつあり,小児救急医療においても導入が期待されている。本研究では小児の初期救急医療について,遠隔医療システムを導入することに対する地域住民の需要を明らかにすることを目的に,子供の保護者を対象に仮想評価法を適用したアンケート調査を行った。調査では遠隔コンサルテーションシステムを利用する場合の支払意思額(WTP)について,システムを1回利用する場合に自分が支払っても構わない支払意思額を尋ねた。特に,医療資源までの移動距離が異なる北海道の2地域の比較,回答者の属性による比較を行った。分析の結果,医療資源への移動距離によるWTPの有意な差は認められず,遠隔コンサルテーションシステムの需要が医療機関までの距離に依存しないことが示唆された。一方,回答者属性による比較では,子供の人数が1人の群,所得の多い群,遠隔医療の知識がある群においてWTPが高い傾向が示唆された。
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© 2010 一般社団法人 日本医療・病院管理学会
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