2017 年 54 巻 2 号 p. 65-75
本研究は職場リーダーの自発的長時間労働が部下のワーク・ライフ・バランスに及ぼす影響を明らかにする目的で,病院に勤務するスタッフ看護職519名,師長30名を対象に調査を実施した。マルチレベル共分散構造分析の結果,職場リーダー(師長)の内発的モチベーションによる自発的長時間労働が,非自発的長時間労働を介して間接的に職場全体のワーク・ライフ・バランス満足度を減少させていた。一方,職場リーダーの外発的モチベーションによる自発的長時間労働は,直接的には職場全体のワーク・ライフ・バランス満足度をやや向上させていたが,総合効果としてはほとんど影響がなかった。職場リーダーがどのような理由によって長時間労働を行っているのかということを把握することは,その部下の満足度の向上にもつながることが示唆された。