2017 年 54 巻 4 号 p. 205-213
地域医療構想では,二次医療圏を基に医療需要を推計することとされているが,被用者保険のデータは含まれておらず,疾患ごとの検討も行われていない。また,福岡県では,根拠が不十分なまま現在の二次医療圏が決定されている。
本研究では,全国健康保険協会福岡支部のデータを使用し,福岡県の虚血性心疾患の入院受療行動の現状を診療行為別に可視化し,二次医療圏の設定について検証したところ,各医療圏で完結率に差があり,集約化の必要性が認められた。交流率を基に検証し,診療行為別に入院可能な医療機関の所在を踏まえたところ,先行研究とは疾患特性などから集約した医療圏が異なるものの,先行研究と同様に4医療圏へ集約され,入院に係る医療を提供する一体の圏域として成立していないことが示された。
医療計画策定において医療圏を見直す必要があるため,他都道府県においても本研究で行った方法を応用し,医療圏の見直しを行う価値があると考えられる。