日本医療・病院管理学会誌
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研究論叢
重症度,医療・看護必要度を用いた転倒転落ハイリスク患者の識別モデルとリスクスコア開発に関する検討
森脇 睦子鳥羽 三佳代尾林 聡伏見 清秀
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2019 年 56 巻 2 号 p. 49-59

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抄録

「重症度,医療・看護必要度(以下,看護必要度)」は,日々の患者の状態が記録されている。本研究では,看護必要度を用い転倒転落ハイリスク患者の識別モデルとリスクスコアを開発しその有用性を検討した。対象は当院に2016年度に入院した患者とした。看護必要度の評価項目をリスクスコアに使用するために因子分析を行った。看護必要度評価項目や患者属性等を独立変数とした転倒転落の影響についてロジスティック回帰分析を行い,リスクスコアを作成した。更に「転倒あり群」,「転倒なし群」のリスクスコアを比較した。転倒あり254件(2.5%),転倒なし群9,894件(97.5%)であった。15項目の評価でハイリスク患者の識別が可能でありその精度は高かった(AUC=0.75, p<0.01)。更に両群のリスクスコアは有意差を認めた(3.7 vs 1.4, p<0.05)。日々蓄積される看護必要度を活用したリスク患者の抽出は,高齢化が進み病院のアクティビティが上がる入院医療において,効率的な予防対策に繫がる。

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© 2019 一般社団法人 日本医療・病院管理学会
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