2024 年 61 巻 2 号 p. 28-36
本研究の目的は,16時間交代制勤務の看護師を対象に,日勤後の睡眠と夜勤中の仮眠時における自律神経系の賦活状況と,睡眠に関する尺度を用いて睡眠の特徴を明らかにすることである。対象者は14名で週1回程度の夜勤業務を行っている20~30歳代の中堅看護師であった。睡眠の質(PSQI-J)を自記式質問紙法で,日勤後の睡眠時と夜勤中の仮眠時における睡眠の状況をウェアラブル心拍センサーを用いてHRV値,LF値,HF値,LF/HF値を計測し調査した。その結果,16時間交代制勤務の看護師はソーシャルジェットラグによって睡眠障害の徴候が現れ,特に夜勤中の仮眠時に交感神経が優位な場合,睡眠の困難さが高まる可能性が認められた。また,LF/HF値が4.0を超える看護師は自律神経系の賦活が高く,質の高い睡眠を確保できない可能性が明らかとなった。