日本医療・病院管理学会誌
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研究論文
サービス・マーケティング視点による患者満足度調査データの有効活用: 知覚品質–患者満足–ロイヤルティの因果構造に着目した実証研究
川上 和真
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2025 年 62 巻 2 号 p. 45-53

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抄録

【問題】医療マーケティングが注目されており,多くの医療施設で患者満足度調査が実施されているものの,貴重なデータを十分に活用できていない。

【方法】マーケティング領域で議論される知覚品質–顧客(患者)満足–ロイヤルティ(推奨意図)の因果構造を医療の文脈でも明らかにしながら,データを活用する分析視角とモデルを示すことを目的に,入院患者満足度調査データを構造方程式モデリングによって検証した。

【結果】分析の結果,「診療品質」,「対人関係」,「One-to-One」,「サービス環境」の品質因子を包括した知覚品質が,患者満足と推奨意図に有意な影響を示し,患者満足も推奨意図に影響した。

【考察】患者は多様な品質を知覚し,満足と推奨意図を形成する。本研究で用いた測定項目は多くの医療施設でデータを測定していることから,本研究の知見には汎用性と拡張性があり,医療マーケティング研究の蓄積と実務に貢献する。

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© 2025 一般社団法人日本医療・病院管理学会
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