2023 年 3 巻 1 号 p. 19-24
近年,遠隔医療が発展・拡大する中,在宅血液透析の遠隔透析支援システムは未だ十分な開発と普及に至っていない.本報告は,我々が開発した在宅血液透析に特化した遠隔支援システムの概要と使用状況について示すことを目的とした.まず現状の在宅血液透析の課題として,透析記録の記載ミスや医療機関への報告の手間,医療者による透析記録へのアクセスに課題があった.今回開発したシステムは,患者側と施設側の二つの管理システムによって,透析の状況や治療記録等のデータをクラウド上で管理することで,患者が透析記録を記載する手間の低減と,医療者の記録のスムーズな閲覧が可能となった.また本システムは透析装置メーカー4社に対応する仕様であり,汎用性が担保されている.使用した患者からは,使用感や操作性の好印象な意見があった.本システムは,安心・安全な在宅血液透析の普及に寄与できる可能性がある.