2001 年 12 巻 p. 88-101
今日、医療従事者の間では「チーム医療」に対する関心が高まっているが、その必要性が訴えられているのと同時に、困難さも指摘されている。本稿では、「チーム医療」が困難である要因のひとつが、「チーム医療」に対する認識や実践が多様であることと考え、それらを整理することを目的とする。その際フィールドワークなどを基に、医療に従事する当事者の捉える「チーム医療」について把握する。そして「チーム医療」という認識と実践をその志向性から、「専門性志向」、「患者志向」、「職種構成志向」、「協働志向」の4つの要素に類型化してまとめ、それぞれの要素についてフィールドワークなどに立ち返りながら分析を試みた。その結果、「チーム医療」の各要素は緊張関係にあり「チーム医療」を困難にしていること、また逆に各要素が相補的な関係になり統合されることが、当事者にとっての「チーム医療」の理想型となることが導かれた。