保健医療社会学論集
Online ISSN : 2189-8642
Print ISSN : 1343-0203
ISSN-L : 1343-0203
居住福祉と福祉コミュニティの視点から(シンポジウムB「地域の保健力を育てる」,特集)
野口 定久
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 13 巻 2 号 p. 25-31

詳細
抄録
今回の日本保健医療社会学会のシンポジュウムBでは、小生が所属している日本地域福祉学会および日本居住福祉学会で論議されている「福祉コミュニティ」、「居住福祉」という切り口から、『地域の保健力を育てる』というテーマに迫ってみたい。近年、私たちの身の回りで生じている社会経済の変動は、これまで家族や組織(企業社会、地域住民団体)に支えられてきた、これまでの生活の一応の「安定」の大変換を迫るものである。出口の見えない長期不況にあえぐ住民の中には、閉塞感が蔓延している。他方、福祉問題は、少年犯罪・非行問題・児童虐待等青少年問題の深刻化、家族やコミュニティの扶養能力の低下をもたらしている。家族が個々に孤立し、子育て中の若年夫婦世帯や障害者・高齢者の要介護者を抱えた家族の間で、孤立や孤独が意識され、その解決が否応なしにコミュニティや家族関係の再生を求める声となって現れてきている。いま、まさに人間と家族と地域が病んでいる。こうした現代社会の福祉問題に、はたして個人・家族・地域社会は回生できるか、その道筋を「地域の保健力」の形成に求めてみたい。
著者関連情報
© 2002 日本保健医療社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top