保健医療社会学論集
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入院環境における準拠枠の変化 : 「仕方がない」という諦めの気持ちの考察を通じて
畑中 祐子杉田 聡
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キーワード: 患者, 入院環境, 諦め, 入院生活
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2003 年 14 巻 1 号 p. 49-58

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抄録

患者は入院をすると、普段とは違う入院環境の中で生活する。入院環境には様々な制約が伴うが、実際に患者が生活に対してどのように感じているかについてはあまり注目されてこなかった。そこで本研究では、患者がどのような意識をもちながら入院生活を送り、入院環境がどのような影響を患者にもたらすのかを明らかにすることを目的とした。入院患者24名に、入院前、入院初期、後期に渡り追跡調査を実施し、回答には、「嫌だ」、「仕方がない」、「全く気にならない」の3つの選択肢を用い、患者の諦めや我慢というような理由を聞き出した。患者は入院すると日常生活とは違う入院環境、共同生活に適応するため、「(病院だから)当たり前、仕方がない」という意識を持つことで、準拠枠を変化させていた。患者の入院生活に対する諦めという意識の変化を知ることは、入院生活を快適にかつ、療養に専念できるように環境を整えられる援助につながると考えられる。

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© 2003 日本保健医療社会学会
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