保健医療社会学論集
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医師-看護師間の協働性の概念と実証研究の概観
吉井 清子
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2004 年 14 巻 2 号 p. 45-54

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抄録

欧米の研究の文献検討を通して、医師-看護師間の協働性概念を整理するとともに、協働性やその要素の把握を試みている研究の現状を概観した。協働性の定義の仕方は様々あるが、中心的な概念は「両職種の知識や技術や視点や判断の違いが最大に生かされる方法で、意思決定やケア提供が行なわれる関係性」と考えた。協働性の中心概念及び協働性を可能とする要素((1)同等な力関係、(2)各職種独自の領域と両職種が共に担う領域に関する認識の一致、(3)自職種と相手職種の意見・関心事を尊重するコミュニケーション・パターン)それぞれについて、参与観察、録音やビデオ分析、質問紙による把握などの実証的方法で検証した先行研究を整理した。最後に、医師と看護師の間の協働的関係の存在が、患者の生存や機能回復などのアウトカムや医師・看護師の態度に与える影響を検証した研究を整理し、協働性の測定方法の開発の必要性や実践上の方向性について考察した。

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© 2004 日本保健医療社会学会
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