保健医療社会学論集
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医学研究規制政策の新たな展開 : 分裂から統合へ?(<学会・研究動向特集>制度・政策の現在において問う)
田代 志門
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2010 年 21 巻 1 号 p. 32-38

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抄録

1980年代後半以降、日本においても、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(Good Clinical Practice,以下GCP)」の制定をはじめとして、医学研究のルール作りが進められてきた。しかし、規制対象となる医学研究の定義が曖昧であり、日常的な医療行為と明確に区別されていない点、およびGCPとそれ以外のルールとの間に大きな溝がある点において、日本の研究規制には課題が残されている。そこで本稿では、近年の医学研究に関する行政指針の改正動向を検討し、以上2つの点について、現在どのような解決が図られているのかを確認した。前者に関しては、2007年の「疫学研究に関する倫理指針」の改正時に議論され、医学研究と日常診療の区別に関して一定の判断基準が与えられた。しかしその一方で、いまだ一部の実験的医療に関しては有効なコントロール手段が存在していない。後者に関しては、2008年の「臨床研究に関する倫理指針」の改正によって、医薬品や医療機器を用いた臨床研究に関する規制は、GCPに近づきつつある。しかし、GCPとその他の研究指針には法的拘束力の有無という点で違いがあり、実効性に課題が残されている。

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© 2010 日本保健医療社会学会
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