保健医療社会学論集
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フィリピン人・インドネシア人看護師候補者の教育と課題(シンポジウム「外国人労働者の参入をめぐる介護・看護マンパワーの不足と偏在-インドネシア人看護師らの現状と抱える問題」,<特集>第36回大会(2010年度)山口県立大学)
川口 貞親
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2011 年 21 巻 2 号 p. 30-34

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抄録

経済連携協定(EPA)の枠組みに基づいて来日し、全国の医療機関に配属になっている外国人看護師候補者の教育と研修の状況を探り、課題を検討するため、フィリピン人看護師候補者を対象とした看護師国家試験の模擬試験調査を実施した。対象は来日第1陣のフィリピン人看護師候補者である。調査に用いたのは、第98回看護国家試験問題の英語版である。その結果、必修問題の平均正答率は79%であった。領域別平均正答率をみると、看護系では61〜73%であったのに対して、身体機能や疾患の基礎知識などについては55〜57%であった。今までに試験問題を見たことがある者とない者では試験結果が大きく異なり、見たことがある者の12名(57.1%)が合格基準に達していたのに対して、見たことがない者で合格基準に達していたのは9名(23.7%)であった。これらの調査結果から、フィリピン人看護師候補者にとって国家試験合格の壁になっている要因としては、日本語履修の難しさだけでなく、日本・フィリピン間の看護教育カリキュラムや看護の基本方針の相違もあることが示唆された。候補者の国家試験合格に向けた学習方法の開発にあたっては、こうした観点も重要であることが示唆された。

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© 2011 日本保健医療社会学会
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