保健医療社会学論集
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特集 保健医療社会学の研究動向と展望
エンド・オブ・ライフケアの概念とわが国における研究課題
長江 弘子
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2014 年 25 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

本稿では、わが国においてまだ新しい“エンド・オブ・ライフケア”という用語をターミナルケア、緩和ケアの定義との比較検討から概念定義を行った。さらに政策的動向から欧米との比較によってわが国の高齢化と看取りの場確保における政策的課題を明示した。その上でわが国のエンド・オブ・ライフケアを推進していくためには、医療者や専門職の倫理的臨床判断のみならず、地域包括ケアシステムの土台となる人々の生き方の選択と心構えを表明するための意思決定支援が必要であり、生活文化を基盤とした支える医療への転換が必要である。国民一人一人が人々の自らの生と死を考え、自らの社会関係の中で自らの尊厳とは何かを問い、最期までどう生きるかを考える機会と場など社会的つながりを作る「媒体」が重要である。社会的つながりをいかに考え、モデルとして提示することがエンド・オブ・ライフケアのアプローチ方法の重要な点であることを言及した。

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© 2014 日本保健医療社会学会
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