高齢出産は女性の生き方の多様化により増加している。近年、高年初産を経験しているのは第二次ベビーブーム世代であり、またその母親は第一次ベビーブーム世代である。この二世代のベビーブームの間ではイエ意識や結婚・出産に関する規範が大きく変化し、少子化・高齢化にも影響していると考えられる。本研究の目的は高年初産を経験した娘をもつ母親にとって、娘の妊娠・出産・育児を経験して娘との関係がどのように変化したのか、またこれからどのような関係を築いていきたいのか、サポートの授受や価値観の違いが母娘関係にどのような影響を与えたか、について母親の語りから明らかにすることである。結果として、母親は娘との関係を良好と捉え、年齢が上がるにつれ心理的な距離は離れるが、娘の高齢での妊娠を機に、心理的・物理的に近接し、積極的にサポートしていた。母親はこれからも娘との良好な関係の維持を望み、娘からのサポートを期待する意識も示唆された。