保健医療社会学論集
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研究ノート
DV被害者支援における看護職の課題についての検討
泉川 孝子
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2016 年 27 巻 1 号 p. 105-115

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抄録

本研究では、DV被害者支援機関の支援者からDV被害者支援の現状を明らかにし、医療機関で働く看護職に求められる課題について検討する。支援者とフォーカス・グループインタビューを3回実施した。なお、本稿で扱う第2回はDV被害当事者を交えて、各機関の支援者が当事者の被害状況を共有することで、さらに看護支援の可能性を検討することを目的とした。DV被害当事者の語りが中心となった結果、【当事者の体験からみたDV被害状況】【被害状況と医療者の対応】【孤立する被害者を支える援助の重要性】【DVの認識の変化と医療現場の声】の4つのカテゴリーが抽出された。当事者は社会関係を絶たれ、孤立を余儀なくされるため共感的な支援が求められる。看護職は、DV被害者の特徴的な症状としてうつ症状、不定愁訴が多い点を理解し診療の補助に関わり、まずは声をかけることが心の扉を開ける大切な一歩となる。

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© 2016 日本保健医療社会学会
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