保健医療社会学論集
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特集 生活モデルに基づいた地域包括ケアを目指して
地域包括ケアの中の看護職とは何か
齋藤 訓子
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2018 年 29 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

地域包括ケアの対象は全世代であり、日本の社会保障制度に共通する理念である。この考え方を基盤において地域包括ケアにおける看護職の定義を検討した。看護提供活動の基本は、看護の対象となる人の現在の健康状態の把握、精神、社会的な側面での状態把握、「今後の変化」を予測することであり、その上で治療効果の拡大、早期回復、あるいは悪化防止、苦痛・不安の緩和、そして穏やかな人生の最期の看取りが実現する。看護実践能力を持った看護職に地域包括ケアで期待されるのは健康上、生活上のアセスメントとリスクの予見、情報の整理と他職種への情報発信、意思決定への支援と倫理調整、ケアの質管理である。これらのことから地域包括ケアにおける看護職とは、プライマリ・ケアの実践者であり、制度を超えたトータルケアコーディネータとケア質管理者であることを結論づけた。

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© 2018 日本保健医療社会学会
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