保健医療社会学論集
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特集 生活モデルに基づいた地域包括ケアを目指して
地域包括ケアにおける医師——医師に求められる「対話」と「連携」とは——
孫 大輔
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2018 年 29 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

地域包括ケアシステムの中で、医師に求められるコンピテンシーとして重要なものは、「対話」と「連携」であろう。今後さらに増加する認知症や慢性疾患をケアする上では、ヘルスケアの「生活モデル」へのシフトが不可欠であり、医学モデルとは異なるコンピテンシーが求められる。それは、患者のナラティブ(物語)を協働的意思決定のプロセスに統合していくような技法(患者中心の医療の方法)や、患者を家族システムの一部と捉え、患者・家族と「対話」する中で行うケア(家族志向性ケア)である。あるいは、地域住民とパートナーとして協働し、健康問題の解決にあたるアプローチ(地域志向性アプローチ)や、多職種と「連携」できるような環境を整える能力(協働型リーダーシップ)が求められる。さらに、問題を取り除くのではなく、健康を支える強みや資源を強化する「健康生成論的アプローチ」も、地域で働く医師にとって重要なアプローチの一つであろう。

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© 2018 日本保健医療社会学会
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