2022 年 32 巻 2 号 p. 59-68
病いの症状や障害が「軽度」とされる人たちは、他者とのかかわりの中で「病者・障害者」にも「健常者」にもなれない、どっちつかずのジレンマといった彼/彼女ら特有の困難を経験することが知られている。しかし、彼/彼女らがどのようなときに困難を感じるかについての検討は部分的にしか行われておらず、いまだ検討する余地がある。そこで本論文では、球脊髄性筋萎縮症患者の語りを通じて「軽度」とされる患者がどのようなときに困難を感受するのかを探った。その結果、日常において身体に不自由を抱えつつも「健常者」としての役割も求められる中で、過去の自己が自己の中で想起されることで現在の困難が感受されること、そしてその困難の感受には各々の患者が生活をする「空間・場所」がかかわりを持つことを提示した。