2026 年 37 巻 1 号 p. 4-13
プライマリ・ケアは医療の入口として、あらゆる愁訴や健康問題を包括的に受け止める役割を担う。しかし日本では、同性婚の法的不承認、トランスジェンダーが直面する制度的障壁、医療現場に浸透した異性愛規範、そして医学教育におけるSOGI教育の不足が重なり、LGBTQ+の人々にとってプライマリ・ケアは十分に機能していない。マイノリティ・ストレス理論と健康の社会的決定要因の観点から示されるように、この健康格差は個人の属性ではなく社会的条件によって生み出される。本稿はLGBTQ+への適切な応答が付加的な配慮ではなく、プライマリ・ケアの本来的な機能から導かれる必然であると論じ、医療者個人、教育、組織・制度にわたる実践的な展望を示す。