昭和学士会雑誌
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剖検例から見たCreutzfeldt-Jakob病の早期診断についての検討
藤田 和久石原 健司村上 秀友河村 満
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2015 年 75 巻 4 号 p. 458-464

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抄録

剖検例から見たCJDの臨床的特徴について検討し,診断に有用な項目について考察する.CJD剖検6例(孤発性5例,硬膜移植後1例)を対象に,臨床症状および経過,頭部MRI所見,髄液所見,脳波所見について後方視的に検討し,臨床診断における有用性について考察した.(1)臨床症状・経過:全例認知機能低下で発症.1例を除き急速に進行し,発症から3か月以内に無動性無言となった.ミオクローヌスは全例で見られた.(2)頭部MRI所見:全例で大脳皮質に沿った拡散強調画像の異常高信号を認めた.(3)髄液所見:14-3-3タンパクは5例で陽性,1例で陰性.(4)脳波所見:全例で周期性鋭波複合体を認めた.(2)~(4)の各項目では全例で(2)の所見が最も早期より認められた.(5)病理所見:硬膜移植後の1例と急速に認知症症状が進行した3例はMM1型であり,いずれも全経過は約1年.最も経過が速く発症から1か月で死亡した1例はMM1+2型.認知症症状が緩徐に進行し全経過4年の症例はMV2型であった.MM1+2型の症例ではMRI拡散強調画像の異常信号域と病変(海綿状変化,プリオンタンパク沈着)の強い部位が概ね一致していたが,その他の症例では相関は見られなかった.MRI拡散強調画像の異常高信号がCJDの早期診断に有用である.

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© 2015 昭和大学学士会
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