昭和学士会雑誌
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臨床報告
マダガスカル口唇口蓋裂医療協力に参加して
―麻酔科医の立場から―
加島 有紀増井 健一三浦 倫一大嶽 浩司
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2020 年 80 巻 5 号 p. 451-455

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抄録
昭和大学が2011年より公益財団法人笹川保健財団および作家の曽野綾子氏の支援のもと実施しているマダガスカル口唇口蓋裂医療協力に麻酔科医として2017年,2019年の2回,参加する機会を得た.本プロジェクトはマダガスカル第3の都市AntsirabeのClinique Ave Mariaにて行われている.医療環境は日本とはかなり異なるため,安全に医療を実施するには困難な場所である.本稿では麻酔科医の視点から,言語の壁が存在し,情報や検査が十分に無い中で行われる術前診察,電源と酸素の供給の不安定さ,また現地に特有の珍しい現象として余剰ガスと虫害,そして最後に医療資源の乏しさから来る低い医療の質について,日本との相違点を中心にそれぞれ述べていく.しかしながら,このような過酷な環境の中,現地の患者が寄せてくれたわれわれの医療への信頼と感謝の気持ちが,医療者としてのやりがいを感じさせてくれた.私の将来のヴィジョンが見える貴重な経験ができた本プロジェクトを今後も続けて欲しいと祈るとともに,本稿が後進に資することになれば幸いである.
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© 2020 昭和大学学士会
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