昭和学士会雑誌
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原著
妊婦のビタミンD欠乏に関する実態調査
青木 真史水野 克己井川 三緒櫻井 基一郎
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2020 年 80 巻 6 号 p. 525-530

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抄録

妊婦のビタミンD欠乏は胎児のビタミンD欠乏につながり,出生した児は低出生体重児,骨密度の低下,易感染性のリスクを高めると報告されている.今回は妊婦の食生活,紫外線対策,ビタミンDに対する関心度と血清ビタミンD濃度の関連,また出生した児における体格や易感染性との関連を調査することを目的とした.前田産婦人科(千葉県八千代市)にて出産予定で妊娠32週以降の女性30名と出生した児を対象とした.妊娠後期に行う定期の母体の血液検査の際に,母親の同意を得て,25(OH)ビタミンD濃度を測定した.血清25(OH)ビタミンD濃度によりビタミンD欠乏と非欠乏の2群に分け,アンケート調査と1か月,3か月,6か月での計測値を用いて解析した.結果としては,対象者30名中14名がビタミンD欠乏と診断された.また妊娠中の紫外線対策,魚・卵・きのこ類などビタミンDを多く含む食材,ビタミンDへの関心度などは妊婦の血清ビタミンD濃度とは関係がなかった.出生児のデータにおいて中央値は,在胎週数39.5週,出生体重3,031gであった.1か月,3か月,6か月健診いずれにおいても気道感染症,湿疹に関して,ビタミンD欠乏,非欠乏間で明らかな有意差は認めなかった.今回の調査により,妊婦の約半数はビタミンD欠乏状態にあることがわかった.原因検索と対応を含めて,大規模調査が望まれる.

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