昭和学士会雑誌
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原著
1年間で2次救急応需件数を1,395件増加させた取り組み
—昭和大学病院における救急医療改革—
前田 敦雄垂水 庸子西脇 宏樹土肥 謙二
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2021 年 81 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

2019年4月より昭和大学病院において2次救急応需件数増加を目的に,対応する診療科が総合診療科から救急診療科に変更された.救急診療科を中心とした救急医療センター改革が与えた影響を検討した.昭和大学病院救急医療センターへの2次救急要請件数・応需件数・応需率・不応需件数・不応需率を集計した.救急医療センター改革を行った2019年度とそれ以前の2016年度から2018年度を分割時系列解析で解析した.2019年度は7,516件の2次救急要請があり,7,228件応需し,応需率は96.2%,不応需件数は288件であった.2018年度は6,603件の2次救急要請があり,5,833件応需し,応需率は88.3%,不応需件数は716件であった.つまり,応需件数は1,395件増加し,不応需件数は428件減少し,応需率も大きく改善した.分割時系列解析で2016年度から2018年度と比較して,2019年度は6.8%(95%信頼区間2.4%〜11.2%)の応需率上昇の効果を認め,一月あたり145件(95%信頼区間94件〜196件)の応需件数増加の効果を認めた.救急医療センターに対応する専任医師数は減少したが,診療科変更に伴う意識改革,繁忙時間に合わせた人員配置,転科依頼システム等のER型救急医療の徹底,診療マニュアル作成などの診療体制の整備を2019年4月より一斉に実施したことによって,大幅な2次救急応需件数増加に繋がったと考えられた.昭和大学病院における救急医療センター改革によって,大幅な2次救急応需件数増加,応需率改善を達成し,地域医療に貢献することができた.また,この一連の改革は,昭和大学の他附属病院でも応用出来るのではないかと考えられた.

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