昭和学士会雑誌
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臨床報告
口腔機能低下症の検査結果を用いた口腔機能年齢(お口年齢)の提案
佐藤 裕二七田 俊晴古屋 純一畑中 幸子内田 淑喜大澤 淡紅子
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2022 年 82 巻 2 号 p. 104-111

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抄録

口腔機能低下症の診断基準は年齢によらず一定であるため,中年では年齢に相応しい口腔機能がなくても,口腔機能低下症と診断されず,超高齢者では歳相応以上の口腔機能であっても,「口腔機能低下症」と診断されるという問題点がある.そこで,年齢に応じた指導・管理を行うために,患者の口腔機能が何歳に相当するかという指標(口腔機能年齢)を提案することを目的とした.対象者は当科を受診し口腔機能に違和感を訴えたものと厚労省の委託事業に参加した13大学の患者資料の合計316名(男性130名,女性186名,平均年齢75.7歳)である.口腔機能低下症の検査結果と年齢との散布図から,相関係数と回帰直線を求めた.各検査項目の年齢平均値をもとめ,個々の患者の検査値との差から,相当年齢を算出する手法を開発した.実年齢と有意な相関があった検査項目は,咬合力,残存歯数,オーラルディアドコキネシス(パ,タ,カ),舌圧,咀嚼能力であった.これらの検査項目の結果から口腔機能年齢がわかる計算式(エクセルシート)を開発した.口腔機能年齢(お口年齢)を簡単に算出するシステムを作成した.それにより,検査項目のポイントを絞って,患者の記憶に残りやすい指導の助けになり,口腔機能低下症検査の普及に貢献できる可能性が示唆された.

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