昭和学士会雑誌
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症例報告
鼻腔閉塞を来した大鼻翼軟骨腫の1例
香月 健亮髙木 信介門松 香一
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2022 年 82 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

軟骨腫において顔面部に発生する報告は極めて稀である.今回われわれは,大鼻翼軟骨に発生した軟骨腫の1例を経験したので報告する.症例は,69歳女性で,左鼻腔閉塞を主訴に来院した.腫瘤は,左鼻翼皮下から触知可能で,腫瘍による左側鼻腔の完全閉塞を来していた.MRI所見では,左鼻翼より発生し,左鼻腔に充満する腫瘍性病変を認めた.鼻柱鼻孔縁切開によるアプローチで大鼻翼軟骨を十分に展開し,腫瘍の摘出を行った.病理組織学的検査を行い,軟骨腫と診断した.術後1年3か月を経過し再発を認めず,鼻翼,鼻孔の左右差を認めない.軟骨腫は,良性腫瘍だが,局所再発や稀に悪性化の報告もある.また,鼻翼など整容性に関わる部位では,術後,継時的に形態異常が起こる可能性も考慮して中長期的な経過観察が必要である.

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