昭和学士会雑誌
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原著
市中病院における気管支喘息診療と短期全身性ステロイド投与例の検討
柿内 佑介松倉 聡岸野 壮真瀧島 弘康酒井 翔吾黒田 佑介林 誠鈴木 信之北見 明彦
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2022 年 82 巻 4 号 p. 267-273

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抄録

難治性喘息に対する生物学的製剤は有効な治療選択肢である.一方,経口ステロイド(OCS, Oral corticosteroid)を含む短期全身性ステロイド(SCS, systemic corticosteroid bursts)による治療が散見される.呼吸器専門医が非常勤や不在の市中病院もあり,市中病院におけるSCS治療に着目し,気管支喘息診療の実態を報告する.本研究では,2019年4月から2020年3月までに,たちばな台病院呼吸器科外来を受診した気管支喘息患者61例を後方視的に解析し,SCS治療を要した症例の臨床所見を考察した.SCS群16例および非SCS群45例で比較検討した.SCS群では,末梢血好酸球数が有意に上昇し,呼吸機能検査で予測1秒量が有意に低下し,有意に副鼻腔炎を合併していた.SCS群16例中10例は過去2年間でSCS治療を繰り返していた.SCS治療を要する症例に対し,末梢血好酸球数上昇や低肺機能の検索および合併症の評価を行い,治療の見直しを行うことが重要である.

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© 2022 昭和大学学士会
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