昭和学士会雑誌
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原著
急性冠症候群において第二世代の薬剤溶出性ステントを留置後の血小板機能と晩期内腔損失との関連
井川 渉磯村 直栄齋藤 惇平嶋津 英木村 太朗大山 祐司小野 盛夫木戸 岳彦荏原 誠太郎岡部 俊孝山本 明和落合 正彦
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2023 年 83 巻 1 号 p. 20-29

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抄録
急性冠症候群では十分な抗血小板作用が必要だが,血小板機能と晩期内腔損失(Late lumen loss:LLL)の関連を調べた報告は少ない.本研究の目的は血小板機能と主要心脳血管イベント(Major Adverse Cardiac and cerebrovascular event;MACCE),LLLの関連を検証することである.急性冠症候群を発症し,Everolimus-eluting stent(EES)もしくはBiolimus-eluting stent(BES)を留置した連続138人を対象とした.術後2から4週間後にPlatelet reactivity units(PRU)を測定した.術後12か月で追跡冠動脈造影を施行した.PRU 221未満をLow platelet reactivity(LPR)群,221以上をHigh platelet reactivity(HPR)群とした.LPR群83人,HPR群51人であり,術後12か月でのMACCE発症率に有意差はなかった (1% vs. 5%,P=0.15).定量的冠動脈造影法ではHPR群で有意にLLLが大きく(0.04±0.37 vs. 0.19±0.38,P=0.02),EESではLLLに差を認めなかったが,BESではHPR群で有意にLLLが増大していた(0.03±0.57 vs. 0.30±0.72,P=0.004).LLL≧0.5mmのリスクを検討し,単変量解析・多変量解析共にHPR (単変量解析:Odds ratio 3.34, 95% CI:1.21-9.16,P=0.01, 多変量解析:Odds ratio 6.05, 95% CI:2.00-18.31,P=0.001)がリスク因子であった.HPRが冠動脈イベントリスクになることが示唆された.
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