遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
臨床経験
当院の乳がん診療における遺伝性乳がん卵巣がんマネジメントの取り組み
田口 育森川 真紀加藤 彩林 孝子佐藤 康幸白石 和寛能澤 一樹杉山 圭司北川 智余恵服部 浩佳
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 21 巻 2 号 p. 53-57

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抄録

 当院では2016年に遺伝カウンセリング外来を開設し,遺伝性乳がん卵巣がん(hereditary breast and ovarian cancer ; HBOC)の拾い上げを目的として, 乳がん手術患者全例を対象に認定遺伝カウンセラーによる家族歴聴取ならびにリスク評価を実施してきた.

 2016年11月〜2018年12月の間に306件の家族歴聴取を行い,National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインの基準に少なくとも1項目が当てはまった94名に対して,リスク評価内容をフィードバックした.このうち, 2項目以上あるいはリスク評価ツール(Prevalence Table またはBRACAPRO)で高リスクとなった34名をHBOCフォローアップ推奨群として抽出し,再度遺伝カウンセリングの受診を案内したところ,3名が遺伝カウンセリングを受診した.

 家族歴聴取とりスク評価の取り組みが,関係するスタッフ間の遺伝性腫瘍に対する共通認識をもつ機会となり,各診療科が協力して継続的なフォローアップを行うHBOCマネジメントの体制整備につながった.

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© 2021 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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