遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
臨床経験
ユニバーサルスクリーニングから確定したリンチ症候群の血縁者における関連腫瘍発生の調査
構 奈央母里 淑子鈴木 興秀近 範泰山本 梓伊藤 徹哉香川 誠長井 智則江口 英孝福田 知雄三鍋 俊春川上 理岡﨑 康司赤木 究石田 秀行
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2022 年 21 巻 4 号 p. 114-118

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抄録

 当院でリンチ症候群(LS)関連腫瘍についてユニバーサルスクリーニングを行ない,LSと診断された14名を対象としてその血縁者情報を後方視的に検討した.第1度近親者(FDR),第2度近親者(SDR),第3度近親者(TDR)は各々58名,89名,18名で,合計165名であった.165名中39名に悪性腫瘍を認め,そのうち32名39病変がLS関連腫瘍であった.FDR,SDR,TDRのLS関連腫瘍の発生頻度はそれぞれ,58名中18名(31%),89名中10名(11%),18名中4名(22%)であった.FDRからTDRの主なLS関連腫瘍は,子宮癌37%,大腸癌34%,胃癌19%であった.世代別腫瘍発生頻度について比較したところ,FDRでは上世代が同世代および下世代に比べ,有意に高かった(P=0.04).LSが臨床的に強く疑われる患者の家族歴聴取に関し,患者の上世代の情報を詳しく聴取することが重要と思われた.

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© 2022 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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