2022 年 21 巻 4 号 p. 114-118
当院でリンチ症候群(LS)関連腫瘍についてユニバーサルスクリーニングを行ない,LSと診断された14名を対象としてその血縁者情報を後方視的に検討した.第1度近親者(FDR),第2度近親者(SDR),第3度近親者(TDR)は各々58名,89名,18名で,合計165名であった.165名中39名に悪性腫瘍を認め,そのうち32名39病変がLS関連腫瘍であった.FDR,SDR,TDRのLS関連腫瘍の発生頻度はそれぞれ,58名中18名(31%),89名中10名(11%),18名中4名(22%)であった.FDRからTDRの主なLS関連腫瘍は,子宮癌37%,大腸癌34%,胃癌19%であった.世代別腫瘍発生頻度について比較したところ,FDRでは上世代が同世代および下世代に比べ,有意に高かった(P=0.04).LSが臨床的に強く疑われる患者の家族歴聴取に関し,患者の上世代の情報を詳しく聴取することが重要と思われた.