遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
臨床経験
遺伝子診断の時間的・技術的格差を補う家系調査の重要性
小川 真紀安田 有理小坂 真吉河合 賢朗菊地 茉莉小山内 由希子野田 淳子尾崎 るりこ安田 純赤木 究
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 22 巻 2 号 p. 54-59

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抄録

 遺伝性腫瘍が強く疑われるが,遺伝学的検査を実施しても確定診断に至らない症例を経験することは少なくないが,近年の遺伝子解析技術の飛躍的な進歩により,こうした症例もその後確定診断ができるようになってきた.このわずかな時間的あるいは技術的な差によって,診断できるはずの症例が確定診断に至らず取り残されることがないように対応していくことはきわめて重要である.しかし,どの症例に対して新たな検査を追加するかを適切に判断することは困難なことが多い.今回私たちは,EPCAM遺伝子の部分欠失によりLynch症候群と診断された家系を通して,ご家族の方と信頼関係を築き,根気強く家系調査を行うことが,こうした課題に対する効果的で迅速な解決法の一つになり得ることを経験したので,診断に至る過程での家族の心情の違いや変化も含め報告する.

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© 2022 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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