遺伝性腫瘍
Online ISSN : 2435-6808
臨床経験
当院における乳癌既往をもつLi-Fraumeni症候群患者への診療状況およびLFS boardの役割
椎野 翔渡辺 智子田辺 記子吉田 輝彦垣本 看子後藤 政広牛尼 美年子小川 あゆみ渡瀬 智佳史村田 健高山 伸平田 真
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 24 巻 3 号 p. 208-214

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抄録

 Li-Fraumeni症候群(LFS)は,TP53遺伝子の病的バリアントを原因とする遺伝性疾患である.当院では,BRCA1/2遺伝学的検査の推進とともに,TP53遺伝学的検査の診療体制にも力を注いでいる.2020~2022年の当院乳腺外科で,31歳以下乳癌患者27人においてTP53遺伝学的検査を提案し同検査を受けた患者は全8例であり,うち1例にTP53モザイクを認めた.一方,肉腫を初発癌とし,それを契機にLFSと診断されかつその後乳癌に罹患した患者は全4例であった.当院では,遺伝子診療部門を中心とし,各診療科と合同のLFS boardを構築し,定期的に各LFS患者の診療方針に関する討議を行っている.本報告では,当院乳腺外科でTP53遺伝学的検査に関連した診療状況についての調査結果とともに,当院におけるLFS boardの役割について考察する.

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© 2025 一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会
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