2025 年 24 巻 3 号 p. 201-207
【目的】石川県立中央病院(以下,当院)のLynch症候群(Lynch syndrome;LS)スクリーニングの取り組み内容および成績について報告する.【方法】当院ではLSスクリーニングを目的とし①病歴・家族歴等から第1次スクリーニング基準に該当しLSが疑われる症例を主診療科と連携し把握する,②治療関連目的で各診療科にて実施されたMSI(microsatellite instability)検査を全例遺伝診療科で確認する,の2点に取り組んでいる.2019年4月~2022年12月の期間中にMSI検査を実施した739例を対象としLSスクリーニングの成績について後方視的検討を行った.【結果】739例中MSI-H症例は57例(7.7%)であった.当院では2019年4月より以前にLSと診断した症例はなかったが,2019年4月~2022年12月の期間に新たに6例でLSの診断に至り,サーベイランスや血縁者の遺伝カウンセリングへつなげている.【結論】MSI検査の使用目的拡大に伴い検査数は増加し,LS診断にも結びついている.LSスクリーニングへの取り組みの継続・発展が重要と考えられた.