2025 年 24 巻 4 号 p. 221-223
『遺伝性大腸癌診療ガイドライン2024年版』の改訂では,リンチ症候群関連腫瘍の原因遺伝子別累積発生率を作成し,関連腫瘍の種類を大腸癌,子宮内膜癌に加え,卵巣癌,腎盂尿管癌,膀胱癌,胃癌,小腸癌,膵癌,胆管癌,脳腫瘍まで拡大した.診断手順について,従来のアムステルダム基準やユニバーサル・スクリーニングに加え,コンパニオン診断とがんゲノムプロファイリング検査からリンチ症候群が疑われる流れを追加し,保険収載されたBRAFV600E検査を新たに組み入れた.大腸については遺伝子ごとのサーベイランスを推奨した.子宮と卵巣を分け,膵臓に対するサーベイランスを新たに追加した.Clinical Questionsでは,リンチ症候群のユニバーサル・スクリーニング,サーベイランス,化学予防,リスク低減手術,Helicobacter pylori感染のスクリーニング検査を対象とした項目を更新・新設した.これらの改訂が,リンチ症候群診療の向上に寄与することを期待する.