森林整備の主たる作業の枝打ち、間伐、除伐など、それらが水源涵養機能に与える長期的でかつ数量的な影響の評価や森林整備による森林の空間的変化に伴う流域流出量の長期的変動予測は、現在でもかなり難しい。従来の水循環モデルには、森林の樹冠、樹木の幹、林地の地表面、土壌中など、雨水の流れの物理的な機構は含まれている一方、森林が持つ生物学的な変化や森林整備で変化した林分構造を表現する部分が水文モデルの構造の中にほとんど組み込まれていないことに原因がある。そこで、新しい森林水循環モデルを構築していく上で、まず人工林であるスギ、ヒノキを対象とした単木樹形モデルによる森林の貯留量特性を検討していくために、現地林内雨量観測による樹冠遮断の解析と微気象解析を通じて、樹冠貯留量の検討を行った。