水文・水資源学会研究発表会要旨集
第18回(2005年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
セッションID: P-16
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樹木年輪を利用した歴史洪水のピーク水位推定に関する試行的研究
*庄 建治朗服部 千晶
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抄録

水文観測開始以前の歴史時代の洪水を復元する資料として樹木年輪に着目した。洪水によって長期にわたり冠水した樹木は、その影響が当時に形成された年輪中に残されている可能性が考えられる。著者らは琵琶湖を対象とし、湖岸沿いを踏査して9地区の合計23個体の樹木から年輪標本を採取した。それらのうちクロスデーティングにより実年代が確定し、かつ19世紀後半まで遡り得る5個体のクロマツ(Pinus thunbergii)試料について、1896年の琵琶湖大洪水前後の期間における早材幅及び晩材幅の変動パターンを検討した。その結果、2個体については洪水生起年から翌々年にかけての生長が洪水の影響により抑制された可能性が見出されたが、他の3個体については見出されなかった。これら2個体が本当に洪水の影響を受けたのか、またそうであればどのような場合に洪水の影響が現れるのかについては今後さらに試料数を増やして検討する必要がある。

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© 2005 水文・水資源学会
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