水文・水資源学会研究発表会要旨集
第19回(2006年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
セッションID: P-35
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気候変動・地球環境
関東地方における酸性降下物の分布特性とその輸送メカニズムに関する研究
*長谷部 正彦鈴木 善晴太田 雅人
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抄録

我が国では,これまで欧米諸国ほどには酸性雨問題が顕在化することがなかったものの,近年急速な工業化が進む中国からの酸性雨前駆物質の輸送量などを考慮すると,今後の環境酸性化に対する懸念を拭い去ることはできず,その影響について早急な検討が必要である.そこで,本研究では,降水中・大気中の酸性物質濃度など環境酸性化の要因に関して,関東地方における時間的・空間的な分布特性の解析を行った.さらに,酸性物質の輸送・拡散に関する数値モデルを用いて,その放出から沈着までの輸送過程について検討した.
降水の酸性度に関しては,北関東では夏季ほど酸性度が高くなる傾向が見られ,その原因は,風向と大気中二酸化硫黄濃度の変化より東京周辺域から酸性物質が輸送されているためであると推測された.また,トラジェクトリー解析より,地表面付近で放出された酸性物質が高い高度まで上昇することで,遠方へ輸送されることが示された.

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© 2006 水文・水資源学会
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