主催: 水文・水資源学会
本研究では,タイ内陸部を中心にプレモンスーン期の陸面熱フラックスを,NCEP/NCAR客観再解析による風・水蒸気場・および潜熱・顕熱,降水量,熱フラックスの観測データ(Tak)を用いて解析した.モンスーンオンセット前の3月中旬からすでに潜熱フラックスが卓越し続けており陸面が湿っている.また2月中旬から潜熱フラックスが顕熱フラックスを上回る状態が時々現れる.潜熱フラックスが卓越している時期の合成図解析によると,中国南部からタイ内陸部,カンボジアにかけて潜熱フラックスが顕熱フラックスより大きい地域が広がり,インドシナ半島内陸部を中心とする上層のトラフが解析される.さらに可降水量がタイ内陸部を中心に増加しており,陸面からの潜熱フラックスによる大気の湿潤化への寄与が示唆された.インドやミャンマー内陸部ではモンスーンが開始するまで潜熱フラックスは増加せず,タイ内陸部と特性が異なる.