抄録
全球河道網モデルTRIPは、世界の大河川について、グリッドからの流出量を河口まで積分したシミュレーションを行うことができる。これまでのTRIPでは、固定の河川流速が用いられていたが、長期平均流量を再現する目的では十分と言えた。しかし、洪水現象の再現には、流速の与え方についての改良が必要である。本研究では、可変流速法をTRIPに導入する。GSWP2による流出量を与えて計算を行い、可変流速法により流量の再現が向上することを示した。メコン川のPakse観測点において、再現流量と観測流量の相関係数は、固定流速の場合0.83であるのに対して、可変流速の場合0.94である。