水文・水資源学会研究発表会要旨集
第20回(2007年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
選択された号の論文の130件中1~50を表示しています
口頭発表
気象・降水 (7月25日, 9:10 - 10:40)
  • 脇水 健次, 吉越 恆, 宇野 正登, 渡邉 雅子, 西山 浩司, 真木 太一
    セッションID: 1
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
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    九州大学では,1999年から冬季に液体炭酸を用いた人工降雨実験(福田,1999)を行っている.「撒布対象雲」は,これら積雲の中の「ある程度発達した積雲(降りそうで降らない雲;シ-ダビリテイの高い雲)」である.しかし,冬型の気圧配置時でも,「撒布対象雲」が必ず発生するとは限らず,実験が成功しない場合もあった.そこで,本稿では,冬季の人工降雨実験の成功率をあげるため1) 福岡での冬季の降水発生の気象原因,2) 筋状の雲が発生するための気象条件,3)気象衛星画像から「撒布対象雲」の出現頻度を解析した. 今回の解析から,次のような事柄が判明した. 1) 冬型の日は対象雲の発生が多く,人工降雨に適した気象条件日であると考えられる. 2) 冬型の気圧配置で前述のような3つの条件を満足して2日目以降に,筋状の雲が出現する回数が最も多かった. 3)気圧配置が冬型の日の発生日数に対して,対象雲の出現日数が平均9.5日(出現頻度30.9%)である.
  • 木島 梨沙子, 中北 英一
    セッションID: 2
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
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  • 筆保 弘徳, 一柳 錦平, 杉本 敦子, 芳村 圭, 山中 大学
    セッションID: 3
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
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    本研究グループは,水の安定同位体を用いた台風内部水循環の解明を目指し,石垣島にて2006年台風13号の気象・同位体観測を行った.台風降水域が石垣島を通過した時の降水同位体比は,内側の降水ほど徐々に軽い水になる傾向が見られる.また中心付近の降水はアウターバンドの降水同位体比と同程度まで重くなるのが興味深い.水蒸気同位体も同様に内側ほど軽くなる傾向が見られるが,台風目の水蒸気は重くなっている.台風動径風により,台風の外側から内側へ水蒸気が運ばれ,レインアウトや降水再蒸発の効果により,中心ほど降水・水蒸気同位体比は低下していることが分かる.動径風も中心付近になると弱まりだし,インナーコアへの水蒸気流入は小さくなるが,接線風は中心ほど大きくなるため中心付近では海上からの蒸発量が大きいと考えられる.そのため中心付近の同位体は高くなると考察される.
  • 高橋 厚裕, 檜山 哲哉, 藤波 初木, 西川 将典, 樋口 篤志, 李 薇, 福嶌 義宏
    セッションID: 4
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
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    夏季の黄土高原南部において、対流圏内の大気水蒸気量の鉛直分布を高時間分解能で測定した。その結果、雄大積雲が発達した日に、高度2km以下の大気下層で大気水蒸気量が減少し、高度2km以上の大気上層で大気水蒸気量が増加する現象が観測された。これは、大気境界層が日中に発達することに加えて、積雲対流により、大気下層の湿度の高い空気が湿度の低い上層大気と混合されたことにより生じたものと考えられた。積雲対流が生じることにより、大気境界層から自由大気への水蒸気供給が活発になることが示唆された。このような積雲対流とそれに伴う大気水蒸気の鉛直輸送のメカニズムについて、今後は雲解像モデルを利用して明らかにしていく必要がある。また、こうした大気水蒸気の輸送が総観気象場とどのように関係し、黄河中流域の水循環変動にどの程度影響しているのかを定量的に調べる必要がある。
  • ABD ELBASIT Mohamed, 安田 裕, SALMI Atte, KOPSALA Panu, 安養寺 久男
    セッションID: 5
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
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  • 寺園 正彦, 中北 英一
    セッションID: 6
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
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    現在ではレーダー観測領域を合成して,広範囲を観測したレーダー情報を用いることができるようになっている.これにGPV情報を加え,立平モデルを導入することで地形性降雨を算定し,短時間降雨予測を行う手法が開発されてきた.しかし,既往研究では立平モデルを導入するにあたって水蒸気収支が考慮されておらず,非地形性降雨と地形性降雨の分離も線形であるという問題点があった.そこで本研究では,台風性降雨を例にとり,地形性降雨を算定する際,風の流線に沿った水蒸気収支を考慮した降雨予測手法を開発し,さらに非地形性降雨と地形性降雨を非線形に分離することを降雨予測に適用して降雨予測精度の向上を目指す.
水文統計 (7月25日,10:50 - 12:05)
  • 天口 英雄, 河村 明, 高崎 忠勝, 荒川 大樹
    セッションID: 7
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
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     我が国の降水観測は,気象庁をはじめ国土交通省や都道府県など多くの地方公共団体が実施している.地方公共団体が行っている降雨観測は主に豪雨時の水防活動を支援する目的で設置され,観測情報はリアルタイムで自動収集され関係機関に提供されている.本研究で対象とする東京都においては,気象庁の雨量観測所が10地点(管区気象台1箇所,アメダス1箇所)であるのに対し,水防災総合情報システムの雨量観測所は島しょ部を除いた117地点と非常に密に設置されている.このように高密度に設置された雨量計の降水データは豪雨時の水防活動に有用であることに加え,記録された降水データは水文資料としてもその価値が非常に高い.
     本研究では,東京都水防災総合情報システムにより収集された10分間降水データの特性について検討を行った.本システムの降水データは豪雨時の水防災情報としての役割が大きく,記録として残されたデータには雨量計の保守などによると思われる異常なデータがそのまま残っている.そのため,本システムのデータを用いて水文解析や流出モデルへの入力として利用する場合には,本研 究で示したように降水データの一つ一つについて記録されているデータが適当であるかを時間的・空間的に確認して用いることが重要である.
  • 守利 悟朗, 鼎 信次郎, 沖 大幹
    セッションID: 8
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    気候変動時における降雨-流出イベントが長期的にどのように変化しているのかについて検討した。降雨-流出イベントの長期変化特性は、気温上昇に代表される気候変動、人間活動による社会構造の変化、そして、ダム建設や河川工事に代表される公共事業による社会資本の改変の影響を受ける為、水の循環系の基本単位である流域規模で評価することとした。 本研究では、1962年から2002年までの40年間の降雨-流出イベントに着目し、対象期間内の各イベントにおける降雨量と河川流量の関係を整理し長期変化傾向を示した。 重信川流域を対象として、MLIT(国土交通省四国地方整備局・松山河川国道事務所)の降雨量および河川流量データを用いて解析した結果、1980年代以降、小規模の降雨イベント時における河川流量の減少傾向や出水日数の減少傾向が示された。
  • 手計 太一, 平野 文昭, 真名子 武
    セッションID: 9
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    水位の観測頻度が日流量値算定に与える誤差について検討を行った.その結果,一日1回の観測では日流量値算定に際し,平均で7.6%の誤差を含むことを明らかにした.また誤差率の幅も非常に広く,一日1回の観測から求めた日流量値は観測頻度誤差を大きく含むことがわかった.観測頻度誤差を1%以下にするには一日6回以上の定時観測を行う必要がある.また,低水流量においても,観測頻度が少ないと誤差が大きくなるので,観測データの観測頻度には細心の注意を配する必要がある.
  • 許士 達広, 横井 潤, 中矢 拓磨
    セッションID: 10
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    河川計画などにおける水文確率値を求める目的で、多くの確率分布モデルや母数推定法が利用されている。これらのうち何が最適であるかを判定するための指標として、SLSCなどによるデータの分布関数への適合度が用いられ、近年はジャックナイフ法などの誤差分散による分布の変動性(安定性)も検討されている。分布関数の適合度と安定生は必ずしも両立する要件ではなく、これらを総合した判断が必要となる。本研究ではこれらを踏まえ、現在あまり利用されていない確率分布の信頼区間を指標の一つとして位置づけ、その意味を検討した。代表的な3つの水文確率分布に対し、実績降雨データを用いて各指標を算出した結果、信頼区間はSLSCとジャックナイフ誤差分散の中間的な性質を示した。
  • 富澤 彰仁, 新谷 勇樹, 呉 修一, 江花 亮, 山田 正
    セッションID: 11
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
広域水循環・リモートセンシング (7月25日,15:00 - 16:15)
熱環境 (7月25日,16:25 - 17:10)
  • 玉川 一郎, 佐藤 弘康, 井上 航一, 鈴木 学
    セッションID: 17
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    名古屋市によるヒートアイランド対策舗装の試験舗装の観測データを使い、
    保水性舗装の蒸発効率を調べた。簡単な1次元地面温度モデルによる再現実験に
    よると、降水後の蒸発効率は、0.2~0.3程度もあった。
    また、この結果を、非静力学数値気象モデル CReSS の簡単な地表面モデルの
    パラメタ (蒸発効率、アルベドなど)に土地利用割合を考慮して、使用した場合
    よく晴れた8月のある日の昼に、1K(名古屋市内の平均道路率)程度の気温低減が
    見られた。市中央部では道路率はもっと高く1.6Kと見積もられた。
  • 森脇 亮, 仲吉 信人, 神田 学, 河合 徹
    セッションID: 18
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,降雨-流出過程を完全に閉じることが可能な屋外スケールモデル実験サイト上において,降雨-流出の残差から遮断蒸発量を計測するための装置を整備し,降雨中の遮断蒸発量について検討を行った.その結果,以下のことが明らかになった.1)流出率には降雨量依存性があり,雨量が小さいときは流出率が小さくなる.また同程度の降雨量では夏季に流出率が小さくなる傾向がある.2)遮断蒸発量は飽差に大きく依存し,飽差が大きくなるほど遮断蒸発量が増加する.3)夏季は降雨中においても大きい飽差が維持される.負符号の地中熱流量(地中から地表への熱フラックス)は降雨中においても継続しており,この傾向は冬季よりも夏季に顕著に生じる.これが夏季の降雨中の飽差を大きくする原因の一つであると考えられる.
  • 加藤 拓磨, 土屋 修一, 渡邉 暁人, 蛯原 雅之, 前村 良雄, 森久保 司, 山田 正
    セッションID: 19
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    ヒートアイランド現象の抑制のため行政,産業界では都市被覆の改善,暗渠の撤廃,打ち水などの水辺の創出,ゼロエミッション,省エネなどの対策を講じている.水の存在は気化熱を生み,地表面とその周辺大気を冷やす.水辺の存在は都市の熱環境緩和おいて重要な役割を持っている.本研究は東京都・埼玉県の県境に位置する荒川の川口・赤羽地区で微気象観測を行い,河川上で気化熱により冷却されることが期待される大気が周辺に与える熱環境緩和の定量的評価を目的とするものである.
地下水・土壌水分輸送 (7月26日, 9:00 - 10:30)
PUB・流出(1) (7月26日,10:40 - 11:55)
  • 谷 誠
    セッションID: 26
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    斜面水文学の観測から得られる知見を未観測流域の流出予測に活かすためには、最も大きい地質影響を前提として、地形や土壌条件の影響を観測から的確に抽出しなければならない。しかし、同一条件が降雨前の貯留を大きくする効果と流出到達時間を長くする効果として現れる傾向があって、流出応答に対するセンシティビティーが小さいという結果につながりやすい 。土壌の透水性の影響に関して、この両義的な影響を基礎式から説明するとともに、斜面水文学の流出予測における役割を議論する。
  • 岩上 翔, 辻村 真貴, 恩田 裕一, 嶋田 純, 田中 正
    セッションID: 27
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
  • 多田 毅
    セッションID: 28
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年,流出モデルの対象スケールの拡大や長期的な将来予測などへの応用が進み,予測結果の不確定性の定量的な評価が必要とされている.これまでに,パラメータおよび予測流量の不確定性解析を行うために,ベイズ統計学とモンテカルロシミュレーションに基づくGLUE(Generalized Likelihood Uncertainty Estimation method)と呼ばれる手法が提案されており,一定の成果を上げている.しかし,有意な事前分布を用いない限りGLUEは感度分析と同義であり,パラメータの変動が予測に与える影響の予測はできても,パラメータがどの程度変動するかという情報を得ることはできない.そこで本研究では,限られた観測データから,その観測データの背後にある母集団の性質を推定するために利用されるブートストラップ法を流出モデルに適用し,パラメータの不確定性を直接推定することを試み,その有用性を確認した.
  • 立川 康人, フヌクンブラ ピービー, 宝 馨
    セッションID: 29
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    KsEdge2Dモデルは京都大学で開発された分布型流出モデルの一つであり,国内の多数の流域で研究され,適用されてきた。この分布型流出モデルは国土地理院が提供する国土数値情報を利用することを前提として開発されているため,そのままでは国外の流域に適用することは難しい。そこで本研究では,KsEdge2Dモデルを地球上のあらゆる陸域に適用することを可能とするために,グローバルに適用可能な地形情報を加工して,KsEdge2Dモデルのための地形情報と河道情報を作成する前処理プログラムDEM-V0-Makerを開発した。タイ国のMae Chaemを対象として,前処理プログラムDEM-V0-Makerが適切に動作することを確認した。これにより,あらゆる国際流域においてKsEdge2Dモデルを適用することが可能となった。この流域でKsEdge2Dモデルを適用し,観測流量を適切に再現することを確認した。
  • 佐山 敬洋, 立川 康人, 平田 智行, 寶 馨
    セッションID: 30
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    広域分布型流出予測システムと観測流量のデータ同化手法として,河道網に適用したマスキンガムクンジモデルのフィルタリング法を提案する。通常のカルマンフィルタを河道追跡モデルにのみ適用して数時間先の流量を予測する場合,主に斜面部の流出モデルが予測流量に影響を及ぼすので,フィルタリングの効果は小さくなる。それに対し,提案する方法は,斜面部の流出モデルに起因する予測のバイアスを,河道網の状態量と併せて逐次推定することにより,数時間先の予測にもフィルタリングの効果が及ぶ。提案する方法を桂川流域の洪水予測に適用し,バイアスを補正することによって洪水予測精度が向上することを明らかにした。
流出(2) (7月26日,16:20 - 18:20)
気候変動・地球水循環 (7月27日, 9:00 - 10:45)
  • 石崎 安洋
    セッションID: 39
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    降水に含まれる水の安定同位体は大きな時空間変動を示し地表面気温や降水量と強い相関があることが知られている。しかし、同位体は相変化のたびに分別され、降水同位体比の変動がどの分別過程によるのか解釈が困難である。特に低緯度では、降水同位体と気候の関係は複雑であり、古気候を復元する際の降水同位体比の利用を困難にしている。そこで、本研究ではGNIP観測と同位体の分別過程を組み込んだCCSR/NIES/FRCGC同位体大循環モデルを用いてアジアモンスーン域でモデルの再現性を調べ、降水同位体比と気候との関係を調べた。この地域では地理的な降水量効果は強くなく、むしろ大気の循環場が重要であると考えられる。一方、特定の場所の降水酸素同位体と気候との時間的な関係は、一般に低緯度で降水量と相関が高く、中緯度で気温と相関が高かった。また、NINO3.4の海面水温偏差との相関を調べたところ、海洋大陸やインドシナ半島,中国南部で強い正の相関が見られた。
  • 萬 和明, 田中 賢治, 中北 英一, 池淵 周一
    セッションID: 40
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
  • 大楽 浩司, 江守 正多
    セッションID: 41
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
     地球温暖化に対するアジアモンスーンの応答は,アジアの多くの人々の重大な関心事であるが,数多くの研究にもかかわらず,その応答は未だ明らかではない.低解像度の気候モデルの制限から,特に夏季アジアモンスーンの日降水量の変動や極値の変化に関してごく少数の研究しか行われていない.本研究は,高解像度全球気候モデルを用いて,アジアモンスーンの日降水の変化が気候変動による力学的な場の変化によって生じるのか,それとも同様の力学場が与えられた場合に生じることが期待される降水特性が変化するのか,という観点で解析を行った.  数値モデルは,水平解像度T106(約1.1度グリッド),鉛直56層の高解像度全球大気モデル(CCSR/NIES/FRSGC AGCM)を用い,標準実験5本,CO2倍増実験7本のタイムスライスアンサンブル実験を行った.南アジア地域の地表気温は,CO2倍増時に2度から6度の昇温が予測される.対流圏下層のモンスーン循環の北へのシフトと,南アジア陸上における降水の顕著な増加が予測される.標準実験の日降水は,強い降水強度の頻度が観測に比べて過大な部分もみられたが,概ね良く一致していた.CO2倍増時に非常に強い降水の顕著な強まりが予測される.南アジア夏季モンスーンの陸上における平均降水量の変化は,主に熱力学的な変化によって生じており,力学的な影響は小さく,相関項はほとんど無視できる.日降水は力学場の変化により,比較的強い(弱い)上昇流によって減少(増加)することが予測される.対照的に,熱力学的変化はほとんどすべての場合において日降水の増加へ寄与していた.この地域の極端な降水現象に対しては,熱力学的変化よりも力学的変化が大きく寄与していた.
  • 沖 大幹, 芳村 圭, キム ヒョンジュン, ゴドク タン, 瀬戸 心太, 鼎 信次郎, 沈 彦俊
    セッションID: 42
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    地下水、土壌水分、積雪水量などの陸水貯留量の変化は陸域水収支の特に季節変化を考える際には非常に重要である。最新のデータに基づき3種類の独立の手法で推定された大河川の総陸水貯留量の季節変化を相互比較し、それらの間の対応を検討した結果を報告する。
  • ゴドク タン, 沖 大幹, 鼎 信次郎
    セッションID: 43
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    全球河道網モデルTRIPは、世界の大河川について、グリッドからの流出量を河口まで積分したシミュレーションを行うことができる。これまでのTRIPでは、固定の河川流速が用いられていたが、長期平均流量を再現する目的では十分と言えた。しかし、洪水現象の再現には、流速の与え方についての改良が必要である。本研究では、可変流速法をTRIPに導入する。GSWP2による流出量を与えて計算を行い、可変流速法により流量の再現が向上することを示した。メコン川のPakse観測点において、再現流量と観測流量の相関係数は、固定流速の場合0.83であるのに対して、可変流速の場合0.94である。
  • 東 博紀, 林 誠二, 大楽 浩司
    セッションID: 44
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,IPCCより入手した12全球気候モデルの計算結果を用いて長江流域における地球温暖化による確率降水量への影響を評価するとともに,100年確率の降水が発生したときの長江のピーク流量の変化を検討した.長江流域では地球温暖化によって現在気候よりも豪雨の年生起回数が有意に増加し,100年確率降水量は現在気候と比べて2050年では1.02~1.68(平均1.28)倍,2100年では1.09~1.69(平均1.37)倍に増加すること,洪水ピーク流量は現在気候と比べて2050年では1.29~1.60(平均1.39)倍,2100年で1.28~1.75(平均1.47)倍になることが明らかになった.
  • 丹治 肇, 桐 博英
    セッションID: 45
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/04/03
    会議録・要旨集 フリー
    耕作放棄の拡大と水田のパイプライン化が農業用水の再編に与える影響とその上での温暖化の影響を検討した。耕作放棄面積は、過去のトレンドを用い、耕作放棄面積の灌漑除外が0%と100%の2つのケースで取水量に影響を与えると予測した。水田の圃場整備に伴うパイプライン化は最近の平均面積でトレンド予測を行い、圃場整備率が60%を越える2050年頃を予測の限界とした。この際、再編面積の1/3は、灌漑除外されると仮定した。温暖化が農業用水に与える影響は、田植えから出穂までは堀江の方法で、出穂から成熟までは有効積算温度を用いた。灌漑期間は成熟の7日前までとした。推計の結果、2050年頃の日本の農業用水は、耕作放棄面積が0%灌漑除外で2006年の80%、100%の灌漑除外で、50%になった。温暖化は、更に節水を促進したが、4℃の上昇シナリオでも、10%以下の減少であり、構造変化の影響が大きい。
流域管理・都市水環境 (7月27日,10:55 - 12:40)
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