抄録
樹種,林相の異なる斜面において表面流出量を観測し,樹種および林相がホートン型表面流発生に及ぼす影響について検討することを目的として研究を行った.観測は,高知県,三重県,東京都にそれぞれ設定した観測サイトにおいて行った.各観測サイト内にそれぞれ3つの斜面プロット(幅0.5 m×斜面長2.0 m)を設置し表面流出量を観測した.広葉樹,スギ,管理されたヒノキ,管理放置されたヒノキ林のいずれにおいても表面流が発生するものの,ヒノキ林では他の斜面よりも表面流出量のピークが大きくなる傾向が示唆された.本研究では,ヒノキ林において管理施業による表面流出特性への影響について明確な差が見られなかったが,ヒノキ林で覆われた流域からの洪水流出ピークが大きくなる可能性が考えられる.