水文・水資源学会研究発表会要旨集
第21回(2008年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
選択された号の論文の146件中1~50を表示しています
口頭発表
広域水循環
8月26日 9:00-10:20
リモートセンシング
8月26日 10:30-11:50
  • 越田 智喜, 宮崎 真, 小森 大輔, 小池 雅洋, 鼎 信次郎, 沖 大幹
    セッションID: 5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    融解粒子の定量観測は寒候期における降水量測定に重要である。融解中の降水粒子はレーダ観測でブライトバンドとして特徴づけられ、ブライトバンドの生成原因や融解する粒子の誘電率の変化に着目した研究は多いが、融解中の粒子を定量観測した事例は少ない。
    我々は、2003年7月より東京大学生産技術研究所において、マイクロレインレーダ(METEK社、以下MRR)による降水の連続観測を行っている。MRRはFMCW形式による周波数24.1GHzを用いた簡易型のドップラーレーダであり、鉛直ドップラ速度とレーダ反射強度因子のスペクトルが測定可能である。
    本研究では2004年12月29日に本州の南を南岸低気圧が通過し、東京で明け方から雨から雪に変化したときの、MRRによる観測と粒子融解モデルとの比較結果を報告する。
  • 隅田 康彦, 山口 弘誠, 中北 英一
    セッションID: 6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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  • 永岡 淳一, 山本 宗尚, 樋口 篤志
    セッションID: 7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    降雨レーダ(PR)が計測している後方散乱は,地表面土壌水分や地表面の粗さによる影響を受ける.また,後方散乱係数はレーダの入射角度によっても影響される.これらの特性を利用して,地表面の季節変動を探ぐる試みが行われている.そこで本研究では,TRMM/PRの後方散乱係数のデータを利用して,土地被覆ごとの季節変動および10年間の経年変化を調査した.その結果,土地被覆ごとに明瞭な季節変化パターンを確認することができた.サヘルでは後方散乱係数と降水量との間に強い相関を見出すことができた.一方,アマゾンでは2ヶ月の遅れを伴う関係がみられた.10年間のトレンド解析では,増加傾向をみることができたが,同時に衛星高度変更の影響が示された.
  • 森  也寸志, 宗村 広昭, 平井 優也, 江草 直和, 森澤 太平
    セッションID: 8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    非破壊土壌環境モニタリング技術として,森林,水田,果樹園,茶畑で多周波数電磁探査を行い,水分の増減や施肥による電気伝導度の変化,また土地利用の違いを調査した.従来法による表層電気伝導度は最高周波数から得られる値とほぼ一致し,森林での降雨前後や水田での湛水前後の変化,畑地での施肥の影響を示すことができた.圃場の水分の増加は深部にわたる伝導度の増加,施肥による影響は表層付近の伝導度の増加として区別することができ多深度探査の利点が得られた.土地管理の違いを伝導度の違いとして表せ,流域全体での管理を行う場合に非常に有効であることを示すことが出来た.これらの値の変化は数十mSm-1以下で生じており,従来示されてきた探査よりずっと低濃度である.このような低濃度を示す農林地で,多周波数による検証を行った例は恐らく初めてで,圃場管理や流域水管理など多周波数電磁探査機の土壌環境計測への可能性を示すことが出来た.
研究グループ報告
8月26日 11:50-12:30
  • 藤巻 晴行, 林 詩音, 佐藤 政良
    セッションID: G-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    多収で耐乾性が高いとされ、今後アフリカの半乾燥地での普及が期待されているネリカ米について、Feddesの吸水モデル中のパラメータを測定し、そのパラメータを日本の陸稲(トヨハタモチ)のそれと比較することで、耐乾性および耐塩性を評価することを試みた。 人工気象室内でTDRを3本挿入したライシメータに2株植え、水(乾燥)ストレスと塩ストレス、水ストレスと塩ストレスの順で負荷を与えた。蒸散量を逆解析することにより吸水モデル中のパラメータを決定した。その結果、トヨハタモチと比べ、水ストレス応答関数に大きな違いはなく、根群の深さが同じ場合の耐乾性が高いとは言えない結果が得られた。塩ストレス応答関数については、同一の浸透ポテンシャルに対し、トヨハタモチより小さい値が得られ、耐塩性もトヨハタモチより低いとみられる。
  • 辻村 真貴, 浅沼 順, 山中 勤, 杉田 倫明
    セッションID: G-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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降水・気象
8月26日 13:30-15:10
  • 脇水 健次, 西山 浩司, 遠峰 菊郎, 真木 太一, 鈴木 義則, 福田 矩彦
    セッションID: 9
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    地球温暖化の影響下では,極端な多雨か極端な少雨の発生頻度が増加すると言われている.  従来,わが国では,干ばつ(渇水)防止のために,度々,ヨウ化銀(AgI)やドライアイスを用いた人工降雨法が,実施されてきた.しかし,これらの方法では問題点が多く,雲内の多量の過冷却液体雲水を効率良く降水に変換できなかった.そこで,この問題を解決するために,1999年2月2日から「液体炭酸を用いた新人工降雨実験」を実施し,良い結果を得ている.しかし,これらの実験やシミュレーション結果から,どうしても「雲の厚さが2000m以上」必要であった.しかし,2007年と2008年の実験から,雲の厚さが,1000m程度の「非常に薄い冬季過冷却積雲」からも地上に降水をもたらすことにも成功したので,本稿では,最近の2例{実験A(2007年2月4日)と実験B(2008年1月17日)}の実験結果を報告する.
  • 山口 弘誠, 中北 英一
    セッションID: 10
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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  • 真木 雅之, 前坂 剛, 岩波 越, 三隅 良平, 清水 慎吾, 加藤 敦, 鈴木 真一, 木枝 香織, Lee Dong-In, Kim ...
    セッションID: 11
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    次世代の豪雨強風監視システムとして,防災科学技術研究所が複数の研究機関,大学と連携して進めているXバンドレーダネットワーク(X-NET)の概要について述べた.2007昨年度に準備を終了し,2008年と2009年の試験観測を通じて以下の項目に焦点を当てた研究をおこなう. •首都圏上空の雨と風の3次元分布(時間分解能6分,空間分解能は数100m~500m)の瞬時集約と配信. •上記の情報に基づく豪雨域,強風域の検出と監視. •外そう法による降水ナウキャスト,およびデータ同化した雲解像数値モデルによる降水短時間予測. •局地気象擾乱の構造,発生過程,発生機構の理解. •都市型災害の発生予測手法の高度化. •気象学,防災研究,気象教育,建築,都市,交通,電力,通信,情報,レジャー産業などの様々な分野における基礎的な気象データベース作成.
  • 上米良 秀行, 増田 耕一, 服部 美紀, 森 修一, 濱田 純一, 櫻井 南海子, 松本 淳, 山中 大学
    セッションID: 12
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    インドネシアの西スマトラを対象に,気象レーダーと地上雨量計の観測値を組み合わせて,2006 年 10 月 28 日から 11 月 27 日までの,時間間隔 30 分,空間間隔緯度経度 0.025 度 (約 2.8 km) の格子型降水量データ (第 1 版,WeSRI-1) を試作し,ウェブサイト (http://www.jamstec.go.jp/j/medid/dias/) から公開した.本発表では,この WeSRI-1 の作成方法と検証結果について報告する.
  • 井芹 慶彦, 松浦 知徳, 飯塚 聡, 西山 浩司, 神野 健二
    セッションID: 13
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    気候データ解析に主成分分析は広く利用されているが,主成分分析がもつ問題点も指摘されている.本研究では,シミュレーションデータ,実際の気候データそれぞれに対して自己組織化マップと主成分分析とを適用し,両手法のパターン抽出能力を比較した.シミュレーションデータに対しては,自己組織化マップを適用した場合はシミュレーションで作成したパターンを全て抽出できたが,主成分分析を適用した場合は抽出できていないパターンがあった.気候データに対しては,自己組織化マップで形成されたパターンの幾何学的な配置は,主成分分析の第1主成分の値と概ねよく対応していた.
水資源・流域水管理
8月26日 15:20-17:00
PUB・流出
8月27日 9:00-10:40
  • 葛葉 泰久
    セッションID: 19
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    適当なパラメータを用い,Multifractalモデルで1時間降水量の降水場を生成した.いくつかの問題を解決する必要はあるが,本稿では,まずシミュレーションの可能性を示した.合計2600あまりのシミュレーション結果から,256×256のグリッドそれぞれについて,最大値,平均値,11年程度のクオンタイルの分布を調べたが,モデルの生成する特異値の大きさゆえに,平均値や最大値が異常に大きくなってしまうことがあったものの,11年程度のクオンタイルについては,それら(非常に大きな特異値)の影響は小さく,そういう観点からは,モデルの可能性が示せたといえる.
  • 森山 聡之, 平野 宗夫, 疋田 誠
    セッションID: 20
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    平野らにより、土石流の発生限界降雨量は、到達時間内の累加雨量に規定される事が理論と実験により明らかにされて来た。この到達時間を求める方法は明確な値が求まらない場合もあるため、森山・平野らにより、ニューラルネットワークを使って到達時間を求めないで発生予測を行う方法や、平野・川原らによって、ニューラルネットワークを用いて到達時間を明確に求める方法が提案された。<BR /> しかし、ニューラルネットワークは、発生に比べて不発生の情報が多いと全ての場合で不発生と判定してしまう傾向が強くなり、土石流の発生が少ない地域では利用が困難であるという問題点を抱えている。そこで今回は、土石流ではなく、流域の洪水資料から到達時間を求める方法を検討した。その結果、土石流の履歴資料が少ない場合でも、洪水資料があれば到達時間が推定可能になり、容易に発生限界降雨を求める事が可能になることを示した。
  • 中西 健一郎, 田中 賢治, 小森 大輔, 沖 大幹, 小尻 利治
    セッションID: 21
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    降った雨が下流に到達するまでの時間(リードタイム)が短い中小河川においては、水文モデルを用いて洪水予測を行うことは、リードタイムを確保すると言う意味において極めて重要な役割を演じることになる。現地観測データを用いて流出モデルによる洪水流出計算の精度評価を行い、分布型流出モデルを組み込んだ洪水予警報システムの有効性を示すことが本研究の目的である。本研究で対象としているMaeWang流域は洪水多発地帯であり、今回の解析対象期間にも洪水警報を発令する基準値となる流量150トン以上のイベントが3回観測されている。こうしたイベントが精度よく再現できるかどうかが本研究のポイントとなるが、今回の流出シミュレーションにおいては非常によく再現できたといえる。しかしながら、まだイベントによっては過大・過小評価をしている場所もあり、こうした誤推定の原因を考慮しつつ、更に精度を向上させることが望まれる。
  • 山本 隆広, 陸 旻皎
    セッションID: 22
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
  • 杉谷 祐二, 中北 英一
    セッションID: 23
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    本研究では河川流域における降雨-地形-流出の3特性の統一的解明を大目的としている.中でも流域地形に着目し,シミュレーションによる流域模擬発生手法を開発することが本研究の目的である.本研究では既往研究の模擬流域発生モデルを流出モデルと連結し得るモデルとするために,流域の斜面・河道発達過程を再検討し,それらの数理モデルを模擬流域発生手法に導入した.その結果,流域地形発達過程の時間的・空間的分布を表現できるモデルを開発し,特に地形発達過程の時間スケールを表現可能である点は既往研究の手法とは大きく異なる点である.
森林水文・雪氷水文
8月27日 13:40-15:20
英語セッション
8月27日 15:30-16:50
蒸発散・土壌水分輸送
8月28日 9:00-10:40
  • 伊藤 祐二, 籾井 和朗
    セッションID: 33
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,1981年から2005年の池田湖において,気象要素が湖面蒸発量におよぼす影響について数値解析に基づいて検討を加えた.月および年平均の湖面蒸発量は,湖面と大気間の温度差および水蒸気圧差と高い相関を示した.特に水蒸気圧差は7月から10月の湖面蒸発量の季節変化を特徴づける.また感度解析の結果によれば,湖面蒸発量に最も影響をおよぼす気象要素は日射量である.月単位の検討において日射量が10 %増加した場合,湖面蒸発量は最大0.54 mm/d増加し,月別の湖面蒸発量に対する相対値で最大38.6 %増加する.
  • 仲吉 信人, 森脇 亮, 河合 徹, 神田 学
    セッションID: 34
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    都市の遮断蒸発の動態解明に向け,屋外準実都市模型(以下COSMO)上にて遮断蒸発実験を行った.遮断蒸発量は平均して降雨の6%程度であり,森林域での報告例(10-50%)より小さく,その熱源は晴天時,都市キャノピーに貯えられた熱量であった.また,森林域で報告されているような降雨継続時間・総降雨量の関係は見られなかった一方,降雨初期飽差と強い相関があることが分かった.都市と森林域でのこれらの違いは両者のキャノピー構造の違いに起因することが考察された.つまり,キャノピー構造によって規定される,有効表積率,キャノピー構成要素のサイズ,熱容量の違いが都市と森林の遮断蒸発の絶対量,熱源・支配パラメータに違いをもたらしていると考えられた.
  • 篠原 慶規, 小松 光, 大槻 恭一
    セッションID: 35
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
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    日射量は,水文モデルなどの入力データとしてしばしば必要だが,気温や降水量などと比べると観測地点は非常に少ない.そのため,全天日射量を推定する数多くの方法が考案されており,その中の1つに気温の日較差を用いる方法がある.本研究では,この方法の日本での適用性・精度について,気象官署の観測値を用いて調べた結果,以下の3点が明らかとなった.(1)モデル中に含まれる経験定数A,Cを観測値から決定した場合,バイアスはほとんどなく,RMSE = 4.40 MJ m-2 s-1程度で推定可能であった.(2)経験定数A,Cを観測値から決定できない場合, A = 0.76,C = 2.2と与えることで,A,Cを地点ごとに決定する場合と同程度のRMSEで全天日射量の推定が可能である.(3)この方法による全天日射量の推定精度は,約200km離れた地点での観測値を用いる場合とほぼ同程度であるため,この方法は200km以内に全天日射量観測地点がない場合に有用である.
  • 金子 大二郎, 小澤 涼平, 熊倉 俊郎, 楊 鵬
    セッションID: 36
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    著者らは,中国を中心としたアジアの穀物生産と水資源のために,不稔を取り入れた光合成穀物収量モデルを開発してきた.しかし,これまでにモデル化してきた方法では,日射・気温・植生現存量の要因と高温障害・低温不稔を取り入れているが,水ストレスが組み込まれていない.本研究では,これまでの穀物収量モデルに,作物学分野で使用している水ストレス指標CWSI指標により気孔開度を表す方法を採用した.また,アジアの領域に広域的に適用可能な方法として,静止衛星GMSによる日射を光合成速度と蒸発散量の推定に利用した場合の適用性について検討したので報告する.
  • 河合 隆行, 安田 裕, 齊藤 忠臣, 多田 泰之, 本田 尚正
    セッションID: 37
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
水質水文
8月28日 10:50-12:30
気候変動・地球水循環
8月28日 13:30-15:10
  • 田中 賢治, 萩澤 佑樹, 小尻 利治
    セッションID: 43
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では各機関から提供される地域気候モデル(RCM)出力値に含まれるバイアス情報を効率的に検出・補正する手法の開発を行う。モデル格子数や格子位置が変更された場合にも迅速にモデルの性能評価を行えるように、できるだけ汎用的なシステムを構築することを目指す。個々のグリッド毎にバイアス情報を算定しても情報が多くなりすぎる上に、検証情報の関係で評価不可能な格子が出てくるため、水系別あるいは都道府県別といった領域単位でモデル評価を行う。バイアス検出では各気象要素の月平均値のみならず頻度分布を算出し、各階級別にモデルバイアスを評価する。バイアス補正では、領域別の月平均値をできるだけ観測値と一致させることに留意しつつ、極値(頻度分布の両側の裾野部)の再現性を高めるべく、各階級別に補正係数を調整するアルゴリズムを考案した。極端に頻度分布形状が外れている場合を除き、概ね良好に頻度分布が修正されることを確認した。
  • 若月 泰孝, 中村 誠臣
    セッションID: 44
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    極端降水の気候変化予測に関する研究を紹介する。本研究では、はじめに非静力学モデルを用いた力学的ダウンスケーリングによる将来気候予測実験を紹介する。高解像度の非静力モデル実験は、GCMが苦手とする短時間降水の極値近傍の強雨も、気候学的によく再現していた。RR2002プロジェクトで気象研究所などが行った梅雨期の将来像予測では、九州を中心とする降水量や極値の増大を予測し、温暖化による非断熱加熱効果の増強と関連付けられた。次に、統計的ダウンスケーリングのための降水強度補正に関する研究を紹介する。低分解能GCMの情報から極値近傍の分位値を推定するために、指数分布のばらつきを考慮した新しい分布関数を導入し、その中の3つの定数をGCMの熱力学量から統計的に推定することで、極値近傍の分位値を推定できると考えた。適応性に関しては検討中だが、可能な限りの検討結果を紹介する。
  • 森 英祐, 浜口 俊雄, 佐藤 嘉展, 小尻 利治, 田中 賢治
    セッションID: 45
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    近年,各地で異常気象の発生が報告されており,安定的な水資源供給に不安が生じている.この傾向は,気候変動によりさらに助長されることも示唆されており,流域単位での総合的水資源管理が不可欠である.本研究では,GCM出力値を流域単位で適用し,気候変動前後の水資源分布の時空間的な推定,比較を行った.結果,河川流況の変化,洪水ピーク時の大幅な上昇など,水資源管理がより困難になることが示唆され,気候変動の影響が流域単位においても顕著にあらわれることが示された.将来,渇水や洪水の危険性の増大が懸念される.また,Hydro-BEAMの長所として,分布型流出モデルの特性を生かし,ダムモデル同様,様々なモデルをその中に組み込むことが出来る点が挙げられる.本研究では,条件を単純化し,生態系への評価も合わせて行った.
  • 川越 清樹, 風間 聡
    セッションID: 46
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    近年,地球温暖化に伴う気候変動の兆候が認められており,水資源の危機,集中豪雨による土砂崩壊に示される二次的災害の発生が懸念されている.これに対して,温室効果ガス抑制等の緩和策,温暖化による影響を事前に明らかにして対策を講じる等の適応策の両面から被害を軽減させる取り組みがなされている.本研究では,地球温暖化の適用策に利用するために河川および海岸と比較して対策整備率の低い土砂崩壊現象を対象に気候変動のリスク変化を時空間情報で示した.対象領域を日本列島全域とし,グリッドセル解像度1km×1kmのマップとしてリスク変化を示した.リスクは土砂崩壊の自然発生を示す確率で示され,温室効果ガス排出シナリオ(A1Bシナリオ;高度成長により環境を制御・抑制する高成長型社会,A2シナリオ;各地域が文化・伝統を重んじ発展する多元社会型)毎と再現期間の降雨極値毎に発生確率を導いた.
  • 堅田 元喜, 永井 晴康
    セッションID: 47
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    領域気象モデルMM5と植物への霧水沈着過程を含む陸面モデルSOLVEGを用いて、サウジアラビア西部の森林保護区域周辺における地表面水収支と植生分布の関係を調べた。まず、MM5を用いてSOLVEGの上部境界条件となる大気最下層の(霧水量を含む)気象場を再現し、観測結果と一致することを確認した。次に、MM5の全格子について、植生の存在を仮定したSOLVEGによる鉛直1次元計算を実施し、植生への霧水沈着量および植生にとって利用可能な水資源の大きさを表す地表面水バランス指標(WBI)を計算した。計算されたWBIの分布と現地植生分布との比較によって、WBIの値が高い(豊富な水資源が存在する)地域に背の高い植生が分布する傾向が示された。利用可能な水資源の分布がこの地域の植生分布を決定する主要な要因であることが明らかにされたと同時に、WBIに基づく乾燥地域に生息する植生の分類方法の有効性が示された。
ポスター発表
8月26日 17:00-18:30
降水・気象
  • 飯島 健介, 大石 哲, 中北 英一, 鈴木 賢士
    セッションID: P-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/28
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、独立行政法人通信機構(NiCT)沖縄亜熱帯計測技術センターが所有する最先端レーダである沖縄バイスタティック偏波ドップラーレーダー(通称:COBRA)を利用して、降雨現象の詳細データを収集、解析することで、降雨現象のメカニズムを追及する。 COBRA では(1)降水粒子の詳細な偏波特性の観察(2)降水粒子の判別(3)強雨時の減衰補正(4)グランドクラッタ除去(5)雨滴粒径分布の推定ができると考えられている。しかし、現状では(2)降水粒子の判別が十分できていない。そのため、COBRA による観測をMicro Rain Radarを用いて補完し、降雨のメカニズムを雨滴粒径分布の観測精度向上の観点から追及することで、自然災害(水害)の防止、もしくは軽減するような予報・予測精度の向上に役立てることを目的とする。
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